≪医師監修≫不妊治療にかかる費用とは?内訳、医療費控除、助成金、保険について

更新日:2017/03/31

不妊治療は治療によって費用が異なります。ここでは、体外受精、人工授精、顕微授精など治療ごとの費用の平均額、さらに助成金や医療費控除などについて解説します。


記事監修医師宋美玄先生  

【 記事監修 】
 産婦人科医・医学博士
 宋美玄 先生


●不妊治療とは
●治療の種類
●治療にかかる費用、期間の平均
●治療にかかる費用の内訳
●医療費控除、助成金、保険で負担分をカバーしよう
●まとめ


不妊治療とは

避妊せず1年程度の夫婦生活を続けても、妊娠しない状態を「不妊症」といいます。


2010年に行われた国立社会保障、人口問題研究所の「第14回出生動向調査」によると、20歳から49歳の夫婦のうち、不妊症の検査や治療を受けたことがある割合は16.4%で、6組に1組が経験していることになります。ちなみに、2000年の調査では12.7%と8組に1組だったことから、不妊に悩む夫婦が増えていることが分かります。


その背景にあるとされるのが晩婚化です。初婚の平均年齢は2001年には男性が29.0歳、女性が27.2歳でしたが、2014年はそれぞれ31.1歳、29.4歳と上がりました。初産の平均年齢も、1980年は26.4歳、2003年は28.3歳でしたが、2015年には30.7歳になりました。今後、晩婚化が進めば進むほど、不妊治療を行う夫婦の割合も増えていくと考えられています。


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治療の種類

不妊治療は大きく「一般不妊治療」と「高度生殖医療」に分けることができます。 


一般不妊治療とは、従来から行われてきた不妊治療のことをいい、主に「タイミング法」「人工授精」を指します。対して、高度生殖医療とは主に「体外受精」「顕微授精」を指します。


→人工授精について詳しくはこちら
→体外受精について詳しくはこちら
→顕微授精について詳しくはこちら


また、不妊治療の中では、不妊の原因を探るための検査が度々行われます。


女性の場合、子宮や卵巣などの状態に異常がないかをみる「超音波検査」、排卵障害がないかをみる「ホルモン検査」、卵管の通りやすさなどをみる「卵管造影検査」などがあります。男性の場合は「精液検査」が行われ、精子の量、活発さ、数、形状などが調べられます。


検査の結果に基づき、今後の治療内容が決定されます。


→卵管造影検査について詳しくはこちら
→男性不妊の検査について詳しくはこちら


治療にかかる費用、期間の平均

不妊治療にかかる平均費用は、アンケートの結果によると72万円でした。


ただ、治療方法によって差が大きく、体外受精の場合で平均154万円、顕微授精で平均163万円と、高度生殖医療になった途端に出費が大きくなることが分かります。

妊娠するまでにかかった治療費の合計金額のグラフ

また、治療開始から妊娠するまでにかかった平均期間についてもアンケート結果を表に示しました。一般不妊治療は1年から1年半ほどですが、体外受精、顕微授精は2年ほどとなっています。

治療開始から妊娠するまでにかかった期間のグラフ

治療にかかる費用の内訳

一口に不妊治療といっても、その治療方法によってかかる費用は様々です。また、検査にも費用がかかるので要注意です。


一般不妊治療の場合

タイミング法は1回3000円から2万円で、保険適用内だと安くなりますが、適用範囲を超えると値段も上がってしまいます。


人工授精は自費診療ですが、1回1万円から3万円程度です。人工授精というと言葉の響きから高額なイメージがありますが、それほど高度な技術は必要とはしません。


高度生殖医療は出費の覚悟を

一方、先にも述べたとおり、それなりの出費を覚悟しなくてはいけないのが高度生殖医療です。


体外受精の医療費は1回あたり20万円から70万円ほど、顕微授精は25万円から50万円ほどです。共に保険適用外のため、かなりの出費になります。


項目

保険
適用

費用(1回あたり)

一般不妊治療

および検査

タイミング法

3000円から2万円

人工授精

×

1万円から3万円

排卵誘発

(投薬・注射)

100円から4000円

ホルモン検査

×

5000円から1万円

精液検査

500円から1500円

高度生殖医療

体外受精

×

20万円から70万円

顕微授精

×

25万円から50万円


尚、不妊治療にかかる費用は病院によって異なりますので、事前に確認すると良いでしょう。


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医療費控除、助成金、保険で負担分をカバーしよう

不妊治療は、ステップが上がっていくにつれて費用がかかってしまいます。そんな不妊治療の費用の負担を少しでも減らすには主に、「医療費控除」「助成金」「保険」の3つの方法があります。


医療費控除

「控除」とは所得から差し引くということです。


例えば、所得が100万円で税率が10%だと税金は10万円ですが、控除額が40万円あれば法律上所得は60万円とされ、60万円×10%で税金は6万円で済みます。そのため、医療費控除によって法律上の所得を減らすことができれば払う税金も安くなるというわけです。


不妊治療費をはじめその他の医療費の合計が、1月から12月までの1年間で、

  • 10万円を超えていた場合…医療費控除の申請が可能
  • 10万円を超えていない場合…所得の5%が10万円未満であれば医療費控除の申請が可能

となっています。申請できる医療費は、1月から12月の1年間でかかった検査費、治療費、薬代の他、通院にかかった交通費、不妊治療のための鍼治療なども認められます。必ず領収書をとっておき、交通費はメモを残しておきましょう。


医療費控除は自分個人だけでなく、「世帯」として申請できるので、配偶者などの医療費も一緒に入れることができます。


助成金

不妊治療の助成金を出しているのは「国」と「自治体」の二つです。


国(厚生労働省)の制度

「特定不妊治療費助成制度」というものであり、対象は、体外受精もしくは顕微授精の治療を行っている夫婦です。


また、特定不妊治療費助成制度には、以下の制限があります。

  • 所得制限

夫婦合算の所得ベースが730万円未満であること

  • 年齢制限

治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満である夫婦

  • 助成回数制限

初めて助成を受けた際の治療期間の初日における妻の年齢が、40歳未満であるときは通算6回、40歳以上であるときは通算3回まで


給付額は、1回の治療につき15万円となっており、初回の治療に限り30万円まで助成されます。


自治体の制度

自治体の助成金の内容はそれぞれ違いますが、その多くは、国の助成金を上回った分を一定額まで助成するというものです。詳細はお住まいの自治体に問い合わせてください。


厚生労働省 特定不妊治療助成金制度の一部改定について


保険

2016年4月、不妊治療保険の販売が解禁され、同年10月2日、日本生命より国内で初めてとなる不妊治療保険発売が開始されました。これはがんや心臓疾患など3大疾病の保障と不妊治療の保障をセットにしたもので、保険契約締結後、2年以上過ぎて不妊治療を受けた場合に、1回あたり5万円から10万円の給付金が支払われる仕組みです。給付金は最大12回まで受け取れます。


契約できるのは16歳から40歳までの女性で、50歳までの不妊治療に対して給付金が支払われます。子どもが生まれると1人目は10万円、2人目は30万円が支給されます。保険料は月1万円ほどとなっています。


まとめ

不妊治療は、ステップが上がるにつれ、費用の負担が大きくなってしまいますが、医療費控除や助成金、保険などを利用することで負担を減らすことができます。手続きなど面倒な部分もありますが、国や自治体の制度などをうまく活用しましょう。

※本記事の内容は掲載時点の情報であり、最新の情報とは異なる場合があります。予めご了承ください。


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