【医師監修】卵管造影検査とは?実施時期、痛みと出血、費用、その後の妊娠について

更新日:2017/03/31

卵管造影検査は、不妊治療の初期段階に行われることの多い検査です。卵管や子宮の問題が分かる他、検査を実施することで妊娠率も上がるとされています。ここでは卵管造影検査の実施時期、費用、痛みがあるかなどを解説します。

●卵管造影検査とは
●検査の流れ
●痛みと出血量について
●検査によって見つかる病気
●かかる費用
●検査後は妊娠しやすくなる?
●まとめ


卵管造影検査とは

排卵後、卵子と精子が出会う場所が卵管です。卵管で受精した受精卵は、成長しながら子宮に向かって降りていき、子宮内に着床して妊娠成立となります。しかし、卵管に詰まりや癒着などの卵管障害があると、精子が卵子までたどり着けず受精することができません。


そこで、卵管が詰まっていないかを調べるのが卵管造影検査です。卵管に加えて、子宮の内腔に異常がないかどうかも調べることができます。通常、この検査は不妊治療の初期段階に行われます。


検査の流れ

卵管造影検査の図

卵管造影検査には、文字通り「造影剤」が使われます。造影剤とは、レントゲン(X線撮影)を撮ったときに画像を写りやすくする薬のことです。


検査の流れは以下の通りです。

  • バルーンカテーテル(体に挿入するための柔らかい管)を膣に挿入する
  • レントゲンを見ながら子宮内の奥に造影剤を流し込む

(この際、痛みが出ないように麻酔を打つ場合もある)


検査で分かること

造影剤が卵管を流れることで卵管の通りやすさが判明します。卵管は一般に左右それぞれ10cmほどの長さがあります。もし造影剤が途中で消えていれば、その部分で卵管が詰まっているため、奥まで造影剤が流れない可能性が高いといえます。


また、造影剤が子宮に流れ込むことで子宮の形も確認できます。


検査のタイミング

排卵した卵子に放射線であるX線をあてないようにするために、検査ができるのは、月経が終わってから排卵起こるまでの約10日間です。また、検査時間は1時間ほどです。


このときに照射されるX線の量は人体に強い影響を及ぼすレベルではありませんので、過度に心配する必要はありません。


造影剤の種類

造影剤には水溶性と油性の2種類があります。


水溶性

  • メリット…吸収性が高いので検査が1日だけで済み、診断精度も高い。
  • デメリット…価格が油性の8倍ほどと高く、体に吸収されるので痛みが出やすい。

油性

  • メリット…安価で痛みも少ない。検査を受けることによる妊娠率向上が、水溶性よりも多く見込める。
  • デメリット…水溶性のように吸収されないので造影剤が体に長く残る。診断精度が水溶性よりも劣る。

造影剤の副作用

造影剤は種類に関わらず副作用があります。例えば、子宮の中に入った菌がお腹にまわって造影後腹膜炎が起こることがあり、これを防ぐために事前に抗生剤が投与されることがあります。


また、造影剤にはヨード(ヨウ素)が含まれており、ヨードに対してアレルギーがある場合、造影剤の投与はできません。


注意すべきポイント

これは全ての医療機関ではありませんが、検査当日の夫婦生活は控えるよう指導しているところも多いようです。


痛みと出血量について

卵管造影検査で痛みや出血がおこる場面は大きく二つあります。


【 バルーンカテーテルを入れたとき 】

バルーンカテーテルを挿入する際に、子宮頸管や子宮膜を傷つけたことによって出血がおこる場合があります。この出血は数日で収まります。


また、バルーンカテーテルを子宮の中で膨らませることで子宮を圧迫し、痛みを伴う場合があります。


【 造影剤を流したとき 】

造影剤は子宮から卵管へ移動していきますが、卵管を通る際に激しい痛みを感じる場合があります。特に卵管が詰まっていたり、癒着があったりするなど、何かしら障害があるとより強い痛みが出るとされています。


痛みの対策として、検査前に痛み止めを使ったり、場合によっては麻酔を打ったりすることもあります。


卵管造影検査の感想は様々

卵管造影検査の感想を示すグラフ

卵管造影検査での痛みは人によって大きく違い、全然痛みを感じないという人がいる一方で、激痛を感じたという人もいます。アンケートの結果でも分かる通り、卵管造影検査での反応は様々です。


検査によって見つかる病気

卵管造影検査で見つかる病気の種類

卵管造影検査で見つかる主な疾患は、卵管閉塞、子宮粘膜下筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮腔癒着、子宮奇形などです。


卵管閉塞

卵管は最も狭いところで幅が1mmほどしかないとても細い管でできており、それが何らかの原因で詰まってしまっているのが卵管閉塞です。


卵管は二つあり、一つだけが卵管閉塞しているのであれば自然妊娠の可能性はありますが、二つとも閉塞している場合(両側卵管閉塞)は治療しなければ自然妊娠は難しいといえます。


子宮筋腫

子宮筋腫は、筋腫が子宮の筋肉の中で大きくなる「筋層内筋腫」、子宮の外側に向かって育つ「漿膜下筋腫」、子宮の内側に向かって育つ「粘膜下筋腫」と筋腫が育っていく方向により3種類に分けられます。また、筋腫が子宮内でぶらさがるような状態になることを「筋腫分娩」といいます。

卵管造影検査では、上記の筋腫が子宮内腔を圧迫するような場所にできた際に見つけることができます。


子宮内膜ポリープ

子宮内膜ポリープは子宮内に内側に向かってできるもので、これも妊娠を妨げるといわれています。1cmにも満たない小さなものから10cm近いものまであり、多くは良性ですが、中には悪性もあるため油断はできません。


子宮腔癒着

子宮腔癒着の図

子宮内膜症になると、本来はできない場所に子宮内膜ができ、月経の度に剥がれて出血することがあります。そこで排出できなかった血液によって起こる炎症が子宮腔癒着です。


卵管に癒着が起こることもあり、その場合は不妊の原因になってしまいます。


子宮奇形

子宮奇形の種類

弓状子宮、双角子宮、中隔子宮、単角子宮、重複子宮など子宮の形が通常と違うものを子宮奇形といいます。子宮が完全に二つに仕切られているもの、逆にどちらか一方しかないものなど様々です。

子宮奇形と診断されても、症状については個人差があり、手術なしで妊娠できることも多いとされています。


かかる費用

卵管造影検査の費用は医療施設によっても異なり、造影剤を水溶性、油性のどちらにするかによっても変わってきますが、1回あたりだいたい5000円から1万5000円です。


自治体によっては助成金が出ることもあるので、自分が住む自治体に確認してみましょう。


検査後は妊娠しやすくなる?

卵管造影検査から妊娠までの期間を示すグラフ

卵管造影検査は、「検査」だけでなく「治療」の側面があるといわれています。それは検査を行うと卵管の詰まりが改善されて卵子や精子が通りやすくなり妊娠する確率が上がるからです。


検査後、半年は妊娠率が高いとされ、最初の3か月間は特に妊娠率が高いといわれています。排卵するタイミングを狙うことで、より妊娠率を高めることができるかもしれません。


なお、先に述べたとおり、水溶性造影剤と油性造影剤で妊娠率を比較すると油性のほうが高いといわれています。


まとめ

このように、卵管造影検査は不妊の原因が分かる「検査」という側面だけでなく、妊娠率を上げるという「治療」の側面を持っています。人によっては痛みを伴いますが、痛み止めや麻酔という方法もあるため、医師に相談してみると良いでしょう。

※本記事の内容は掲載時点の情報であり、最新の情報とは異なる場合があります。予めご了承ください。


記事監修医師宋美玄先生  

【 監修者 】
 産婦人科医・医学博士
 宋美玄 先生

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