≪医師監修≫子宮筋腫とは? 原因、症状、治療、検査、妊娠への影響について

更新日:2017/12/12

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子宮筋腫は婦人科系疾患で最も多くみられる良性の腫瘍で、無症状で診断されていない人を含めると、成人女性の約20%から30%に子宮筋腫があるといわれています。婦人科の診察で発見されるので、好発年齢は30代から40代ですが、20代や閉経後でも発見されます。ここでは子宮筋腫の原因や症状、治療方法、妊娠への影響について解説します。


記事監修医師堀口貞夫先生  

【 記事監修 】
主婦会館クリニック 院長
堀口貞夫 先生


●子宮筋腫とは
●原因
●症状
●治療方法
●検査方法
●妊娠への影響
●まとめ


子宮筋腫とは

子宮筋腫とは子宮にできる良性の腫瘍で、子宮の筋肉細胞が球状となり増殖して形成されます。がんとは異なり、それ自体は命に別条ありませんが、進行すると様々な症状を引き起こします。筋腫は一つのこともありますが、複数できることもまれではありません。


子宮筋腫の成長には、卵巣から分泌される女性ホルモンが影響しています。妊娠中に女性ホルモンの量が変化して子宮筋腫が急に大きくなることがありますが、そのために筋腫の中心部に栄養が行き渡らなくなって細胞が死滅し、変性して、出産後に筋腫が小さくなることもあります。閉経後の子宮筋腫は大きくならないと考えられますが、中心壊死のため急に大きくなることもあり定期的な検診は必要です。


子宮筋腫の分類

子宮筋腫の分類

子宮筋腫は筋腫ができる部位によって筋層内筋腫、漿膜(しょうまく)下筋腫、粘膜下筋腫の3つに分類されます。


最も多いのが子宮の筋肉の壁(子宮筋層)の中にできる筋層内筋腫で、子宮筋腫の約6割がこのタイプです。また、子宮の一番外側を覆っている漿膜という薄い膜と、子宮筋層との間にできる子宮筋腫を漿膜下筋腫といい、子宮筋腫の約3割を占めています。残りの約1割が粘膜下筋腫で、子宮筋層の内側を覆う子宮内膜のすぐ下側に発生したものです。内膜からつき出ている筋腫を有茎粘膜下筋腫、細い茎で内膜とつながったまま膣の方へ出てきてしまうものを筋腫分娩といい、これらも筋腫の一種です。


原因

子宮筋腫の原因は明らかでなく、遺伝との関連も不明です。感染症ではなく、性行為によって発症することはありません。なお、肥満によって子宮筋腫が増える傾向にありますが、肥満を解消しても子宮筋腫が改善するとはいえません。食生活との関連も不明ですが、一般的に、子宮筋腫に伴う症状によって貧血が起こりやすくなるので、食べ物から鉄分をしっかり取り、ストレスの少ない生活を心がけることが大切です。


症状

子宮筋腫の初期症状と、進行した場合にあらわれる症状について解説します。


初期症状

子宮筋腫は、特に初期には自覚症状がないことの多い疾患です。症状は部位によって異なり、子宮の外側に向かって成長する漿膜下筋腫の場合、相当大きくなるまで無症状で経過する人もいます。一方、子宮内膜にできる粘膜下筋腫では、月経時の腹痛(生理痛)や出血の増加(過多月経)などの症状が現れやすいタイプの子宮筋腫です。


進行症状

先に述べた過多月経や月経時の腹痛、腰痛の他、吐き気や疲労感などが日常生活に支障をきたすほど強くなる月経困難症などの症状が多くみられます。また、貧血も代表的な症状の一つであり、過多月経や、月経時以外に出血する不正出血などが原因です。


子宮筋腫が大きくなると腹部に圧迫感や痛みが生じ、膀胱が圧迫されると頻尿や尿失禁、腸が圧迫された場合は便秘やおならが増えたりします。その他、性交痛などの症状がみられることもあります。


症状チェック

上記に挙げたような症状が気になったら、早めに病院を受診しましょう。またセルフチェックとして、漿膜下筋腫では特に大きい筋腫ではしこりとして下腹部に触れる場合もあります。


治療方法

子宮筋腫の治療指針

子宮筋腫は症状がなければ、定期的な経過観察のみとなります。


治療を実施する場合は、症状や筋腫の状態だけでなく、子どもを産みたいかどうかという挙児希望(妊娠の希望)の有無によっても大きく左右されます。基本的な治療法は、薬物療法と手術療法ですが、治療の指針となるガイドラインについては、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会の編集・監修による「産婦人科診療ガイドライン―産科編2014」および「産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2014」が参考とされています。


経過観察、対症療法

子宮筋腫は原因不明で進行の度合いが個々の症例により大きく異なるため、専門医でも予後の予測が難しいのが現状です。経過観察では6か月から1年に1回、筋腫の大きさや貧血、痛みなどの症状を確認します。子宮筋腫が肉腫などの悪性腫瘍に変化する可能性は低いとみられていますが、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんなどの悪性腫瘍が見つかることがありますので定期的な診察は必ず受けましょう。


貧血や痛みなどの症状がある場合は、対症療法が行われます。


薬物療法

子宮筋腫に対する薬物療法

薬物療法には対症療法と、子宮筋腫の増大を止めるための偽閉経療法があります。


対症療法は貧血に対する造血剤の投与や痛みに対する鎮痛剤の投与などで、月経困難症に対しては低用量ピルも有用です。漢方薬は子宮筋腫を直接治療するわけではありませんが月経困難症などに有用で、当帰芍薬散や加味逍遥散など一部の漢方薬は対症療法として保険適用されています。


また、偽閉経療法に用いるGnRHアゴニスト・アンタゴニストは下垂体機能を介して卵胞ホルモンの分泌を抑制して筋腫の増大・過多月経を抑えますが、長期に使用すると骨量低下のリスクが高くなるため、投与期間は6か月以内に制限されています。手術前に筋腫を縮小させたり貧血を改善させたりするなどの目的に適した薬剤です。副作用はほてりや頭痛、イライラなどで、更年期障害に似た症状となっています。


手術療法

子宮筋腫の手術療法には大きく分けて子宮全摘術と筋腫核出術があり、筋腫の大きさや位置、妊娠希望の有無などを総合的に考慮して術式を決定します。最近は開腹手術だけでなく、腹腔鏡下や子宮鏡下の手術も実施しています。


入院期間は施設や病状により異なりますが、開腹手術が7日から10日間、腹腔鏡下手術が4日から6日間、子宮鏡下手術は2、3日間が目安です。最近ではカテーテル治療による子宮動脈塞栓術(UAE)、MRIと超音波を用いた集束超音波療法(FUS)といった新しい治療法も開発され、治療選択肢が広がりつつあります。費用は術式や入院日数などによって異なり、また各施設でも異なります。


単純子宮全摘出術

子宮筋腫に対する単純子宮全摘出術

筋腫を子宮ごとすべて摘出する根治術です。摘出するのは子宮だけで、卵巣や膣は体内に残しますので、女性ホルモンの分泌や性機能は保たれます。


開腹による腹式子宮全摘術と、膣から子宮を摘出する腟式子宮全摘術が主な術式で、腹腔鏡下手術も一部の施設で行われます。開腹手術は出血量が少なく手術時間も短いですが、術後の痛みや社会復帰までの期間は、腹腔鏡下手術では負担が少ないことが多いです。


筋腫核出術

子宮筋腫に対する筋腫核出術

子宮を温存して筋腫だけを取り除く方法であり、挙児希望や子宮を残したい人が対象です。


開腹または腹腔鏡下、子宮鏡下の手術となります。子宮を残せることが最大の特徴ですが、子宮全摘術に比べて出血量が多く手術時間が長いこと、子宮筋腫が複数あってもすべてを取り除けない場合が多いこと、そして子宮を温存したために再発の可能性があることを認識しておく必要があります。


子宮動脈塞栓術(UAE)

子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術(UAE)

子宮筋腫に栄養を送っている子宮動脈を塞栓物質でふさぎ、血流を遮断して子宮筋腫を壊死させる治療法です。根治術ではありませんが、筋腫の縮小や過多月経の改善が期待できます。


1時間前後で終了し、入院期間は3日から5日です。術後に下腹部痛が生じますが、数日でおさまることが多いです。子宮筋腫が多数あっても適用可能であり、手術の傷が残らないことなどがメリットに挙げられます。


ただし、一部の患者さんでは十分に改善せず、その後子宮全摘術となる場合があります。また、流産や切迫早産、子宮破裂といった重大な合併症が報告されており、挙児希望の患者さんにはすすめられません。


MRIガイド下集束超音波療法(FUS)

MRIの画像情報をもとに多数の超音波ビームを集束させ、病変を焼灼します。MRIの装置にうつぶせに乗り、下から超音波を照射します。子宮筋腫の大きさや位置によって実施できる症例が限られますが、麻酔の必要もなく低侵襲で、日帰り入院も可能です。なお、将来妊娠を希望する患者さんに行うことはできません。


FUSにかかる時間は3、4時間程度ですが、症状の改善には比較的時間がかかります。副作用として、腹痛や吐き気などが報告されています。現時点では保険適用外であり、全額自己負担となる治療法です。


検査方法

子宮筋腫の診断にあたっては、最初に問診と、内診および超音波検査を行うのが一般的です。必要に応じて、悪性腫瘍やその他の疾患との鑑別や診断確定のためにMRI検査や血液検査、子宮鏡検査なども行います。


問診

問診では症状と、月経の様子や貧血の有無、使用中の薬剤、最終月経日(開始日)や初経年齢、妊娠・出産歴、流産・中絶歴、家族歴などが聞かれます。デリケートな内容で答えにくいかと思いますが、正確な情報が求められます。事前にメモなどを準備すると、問診がよりスムーズになります。


内診

内診は、子宮や卵巣、そして子宮筋腫の状態を調べる基本的で重要な検査法ですが、どうしても心理的に抵抗がある場合は、診察前に医師やスタッフに相談してみましょう。


超音波検査

超音波検査は痛みもなく、簡便に行えることが利点です。おなかの上から超音波を発するプローブをあてる経腹法と、細いプローブを膣から挿入する経腟法があり、場合によっては直腸にプローブを挿入する経直腸法を行います。


MRI検査

MRI検査は超音波検査より鮮明な画像が得られ、診断の確定に有用です。CT検査やX線検査と異なり放射線を使用しないため、検査による被ばくのリスクはありません。


血液検査

血液検査は、貧血の確認や他疾患との鑑別に重要であり、初診時や入院時といったタイミングで実施されます。


子宮鏡検査

子宮鏡検査は子宮の中に細い内視鏡(子宮鏡)を入れて子宮内腔を観察する検査法です。


妊娠への影響

子宮筋腫の大きさや、筋腫のある場合によって不妊や流産、早産の原因になることもあります。しかし、妊娠可能な場合もあります。子宮筋腫がおよそ5cm未満で自覚症状もなければ、経過観察とすることも多いです。


一方で、筋腫が5cmより大きい場合や不妊や流産がある場合などは、子宮内の環境を良くする目的で、妊娠前に子宮筋腫核出術をすすめられる場合もあります。ただし子宮筋腫核出術は子宮を切開するため、分娩時に切開した部分が裂けてしまう子宮破裂のリスクがありますから、慎重に検討しましょう。


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まとめ

子宮筋腫は無症状で経過することも多いですが、月経困難症や不妊などの深刻な症状をもたらすこともあります。治療をするかどうか、また治療する場合はどのような方法を選択するかについては、主治医や家族と十分に話し合うことが大切です。ここに述べたような症状が気になったときは、早めに医療機関を受診しましょう。

※本記事の内容は掲載時点の情報であり、最新の情報とは異なる場合があります。予めご了承ください。


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