【医師監修】不妊の原因とは?女性と男性それぞれの理由について

更新日:2017/03/31

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不妊に悩むカップルは日本では6組に1組ともいわれていますが、その原因は実に様々です。不妊の原因が男性にある場合も多く、正しく原因を知ったうえで適切な治療を受けることが重要となってきます。ここでは不妊の原因について解説します。

●不妊とは
●女性の不妊症の原因
●男性の不妊症の原因
●原因が分からない場合
●2人目不妊や3人目不妊の原因
●不妊のリスク要因
●まとめ


不妊とは

健康なカップルが避妊をせずに一定期間夫婦生活を続けても妊娠に至らない状態を、不妊といいます。

1年程度夫婦生活を続けても妊娠しない場合、妊娠の希望があれば不妊の検査や治療を開始するのが適当であるとするのが、現在の考え方です。これは、性成熟期のカップルが夫婦生活を続けると、1年後には約85%のカップルで妊娠が成立することを根拠とするものです。


日本産婦人科学会生殖内分泌委員会(2015)では不妊の定義を次のように定めています。

生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある一定期間、避妊をすることなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合を不妊という。その一定期間については1年というのが一般的である。なお妊娠のために医学的介入が必要な場合は、期間を問わない。


尚、カップルが高齢であったり、不妊の原因となる異常があったりする場合は、1年以内であっても検査や治療を考える必要があります。


不妊の原因は女性だけにあるのではありません。男性側に不妊の原因がある比率は約半数といわれ、男性の検査も欠かせないのです。不妊症には多くの原因があるので、系統立てて一つずつ検査することが肝心です。

不妊の原因 男女の割合

女性の不妊症の原因

女性の不妊症の原因の図解

妊娠するためには、排卵された卵子が卵管に取り込まれ、精子と受精し、受精卵として子宮内膜に着床するという過程を経る必要があります。それらのどこかに不具合や異常があると、妊娠する可能性は低くなります。


女性の不妊症の原因は様々あり、どこに障害があるのか原因を特定することが重要です。


排卵の問題

排卵障害とは排卵が起こらない、または排卵が起こりにくい状態のことをいいます。排卵が起こらないと、精子は卵子と出会えず妊娠に至りません。排卵障害の原因には、視床下部や脳下垂体に異常があり、ホルモンの分泌が低下し、排卵が起こりにくくなるなどがあります。


排卵の問題は、女性側に原因のある不妊の約40%を占めるといわれています。


卵管の問題

卵巣と子宮をつなぐパイプの役割を果たす卵管に障害があると、卵子や精子が通ることができないため受精ができず、妊娠に至りません 。卵管障害の原因には、クラミジアなどの性感染症による卵管炎や腹膜炎、子宮内膜症などがあります。


子宮の問題

子宮奇形(子宮の形に異常がある状態)の場合、受精しても着床が妨げられ、不妊の原因になることがあります。


また、子宮筋腫により子宮内腔が変形したり、子宮の血流が奪われたりすることで受精卵の着床が妨げられ、不妊の原因になることがあります。


子宮内膜症(子宮の問題の一つ)

子宮内膜症とは、本来は子宮内腔にしか存在しない子宮内膜が、子宮外に発育してくる病気です。不妊期間の長い人の3割が抱えているといわれる問題でもあり、卵巣や卵管、腹膜、直腸、膀胱によく起こります。


卵巣にできた子宮内膜症のことを「チョコレート嚢胞」と呼ぶこともあります。


頸管の問題

子宮頸管は子宮腔と膣をつなぐ長さ2、3センチの管で、通常は細菌が子宮に入るのをブロックする頸管粘液が分泌されています。この粘液について、かたい、量が少ない、酸性度が高いなどの異常がある場合、不妊の原因となることがあります。


免疫の問題

配偶者の精子に対する抗体が原因となり引き起こされる問題を「免疫性不妊症」といいます。


女性にとって精子は異物ですが、通常は精子を攻撃する抗体はつくられません。しかし、まれに精子に対する抗体を持っている場合があります。精子に対する抗体があると、子宮に精子が入れないため不妊の原因となります。


これは女性側だけでなく、男性側が自己抗体といって自分の精子に対する抗体を作っている場合もあります。


男性の不妊症の原因

男性の不妊症の原因の図

男性側に不妊の原因がある場合を「男性不妊症」といいます。不妊の約半数は男性にも原因があるといわれています。


性機能障害

性交時に十分な勃起が起こらない、勃起を維持できない状態を「勃起障害(ED)」といいます。ストレスや動脈硬化、糖尿病などが原因とされています。

また、勃起はするものの、性行為中の腟内射精ができない状態を「腟内射精障害」といいます。逆行性射精といって一部の精液が膀胱へ射出されてしまうこともあります。射精障害も、精神的な問題によって引き起こされることがあります。


  • 造精機能障害

造精機能障害とは、精子をつくる機能に障害がある状態です。精子の数が少ない、精子の動きが悪い、奇形率が多いなどの症状を引き起こします。また、射精された精液の中に精子が全く見られない「無精子症」も造精機能障害の一つです。


  • 精子輸送障害

精子輸送障害とは、精子を運ぶ「精管」が欠けていたり、詰まったりしている状態です。精子が通過できないため「無精子症」や「乏精子症」を引き起こします。

→男性不妊について詳しくはこちら


原因が分からない場合

不妊検査における一般的な検査を行っても、異常が発見できない場合を「原因不明不妊症」といいます。これは、不妊症の約10%から20%を占めているといわれています。


このような原因不明の場合「ピックアップ障害」の可能性を指摘されることがあります。ピックアップ障害とは卵巣内の卵胞から排卵された卵子が、卵管の中に取り込まれない状態のことをいいます。


原因は特定されていませんが、状態を改善する方法として排卵誘発剤を使って、排卵する卵子自体の数を増やすといった策がとられます。また、排卵自体は行われているので体外受精も選択肢の一つとなります。


2人目不妊や3人目不妊の原因

不妊の悩みは何も1人目だけとは限りません。2人目や3人目が欲しいのに、妊娠に至らない「2人目不妊」や「3人目不妊」の場合は以下の原因が考えられます。


不妊の要因を実は持っていた

1人目は順調に妊娠した場合でも、実はもともと妊娠しづらい要因を持っていた、あるいは、出産後に子宮筋腫や子宮内膜症などの不妊の要因を持ってしまったことが考えられます。


加齢による影響

1人目の妊娠から1年経てば、卵子や子宮、精子も1歳年を取っています。子どもを産んでも産まなくてもそれは同じです。精子や卵子の質の低下や子宮の環境が悪くなっている可能性が考えられます。


前回出産による影響

1人目の出産後、授乳の影響などでホルモンバランスが一時的に狂うこともあります。排卵の時期がずれたり、排卵していなかったりすることもあるので、月経不順が続くようであれば排卵検査薬などを使って、検査を行ってみても良いでしょう。


夫婦の時間が少なくなった

2人目、3人目となると子育てをしながら夫婦の時間をもつのが難しくなります。性交の回数が減れば、それだけ妊娠の可能性も低くなります。


不妊のリスク要因

その他、一般に不妊の原因と考えられる項目と不妊との因果関係についてまとめています。


性感染症

一番多いのはクラミジアです。クラミジアは性感染症の一種で、若年層を中心に患者が増加しています。クラミジアが子宮頸管に感染すると、卵管の閉塞などの異常を引き起こし、不妊症の原因となると考えられています。感染しても自覚症状がないことも多いため、無症状であっても検査する必要があります。


その他の性感染症でも不妊症の原因になり得るため、検査の対象となることがあります。


ストレス

過度なストレスは生殖機能に悪影響を及ぼすことが分かっています。ストレスによって脳が対ストレスの臨戦状態になっていると生殖機能への指令がおろそかになり、それが結果的に排卵障害や月経不順などの不妊の原因につながる場合があると考えられています。


高熱

高熱に悩まされる男性

男性は、高熱が続くと精子が死んでしまう場合があります。それが全て不妊の原因に直結するわけではないようですが、成人後におたふく風邪のように長く高熱が続いた場合は、泌尿器科や産婦人科で精液検査をしてもらったほうが良いでしょう。


アルコール

今のところ、飲酒と妊娠の因果関係については分かっていませんが、大量に飲酒するのはおすすめしません。

性生活に影響が出ることも考えられるため、お酒は楽しむ程度にしましょう。


タバコ

本人の喫煙だけでなく、周りにいる人の喫煙も体に悪影響を及ぼします。女性では卵子が減ったり、子宮着床障害、卵管障害を引き起こしたりする可能性が高くなります。男性では精子に関する異常や体外受精率の低下がみられます。


肥満、過度なダイエット

太りすぎ、痩せすぎは男女共に妊娠しづらくなる要因となります。特に女性の場合は、排卵が起こりづらくなります。しっかりとしたバランスの良い食生活と適度な運動を心がけることが大事です。


中絶

昔は不妊の原因になるといわれていましたが、今は関係ないと考えてかまいません。


まとめ

妊娠をするためには、排卵、受精、着床をはじめとする様々な条件を満たさなければいけません。それらのどこに不具合や異常があっても、妊娠は成立しないのです。検査を行うことで、何が原因かを見極め、的確な治療やカウンセリングを受けることが妊娠への近道となります。

※本記事の内容は掲載時点の情報であり、最新の情報とは異なる場合があります。予めご了承ください。


記事監修医師宋美玄先生  

【 監修者 】
 産婦人科医・医学博士
 宋美玄 先生

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