≪医師監修≫男性不妊とは?原因、検査、治療、自分でもできる改善法について

更新日:2017/01/27

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不妊の原因は、半数が男性にあるといわれています。しかし、一般に不妊といえば女性に原因があると思われがちであまり広くは知られていません。ここではそんな男性不妊の原因や、検査、治療について解説します。男性不妊の検査や治療は、泌尿器科でも行うことができますので、もしやと思ったときはしっかり受診しましょう。


記事監修医師宋美玄先生  

【 記事監修 】
 産婦人科医・医学博士
 宋美玄 先生


診察を受ける男性

●男性の不妊原因
●検査方法
●治療方法
●自分でもできる改善法
●まとめ

男性の不妊原因

子どもを希望するカップルのうち、男性側に不妊の原因がある場合を「男性不妊症」といいます。


男性不妊症は、精子をつくり出す機能に問題がある「造精機能障害」、精子の通路が塞がっている「精子輸送障害」、性行為に至るまでの充分な勃起が起こらない、または射精に問題がある「性機能障害」の3つの原因があります。


造精機能障害

造精機能障害とは、精巣において精子をつくる機能に障害がある状態です。男性不妊症の約80%から90%が造精機能障害によるものであるといわれています。

精索静脈瘤の図解

造精機能障害の半数以上は「原因不明」といわれていますが、残る半数の原因が分かっているものの中で最も多くを占めるのが「精索静脈瘤」です。精索静脈瘤とは精巣のまわりにできた静脈瘤(静脈がこぶ状に膨らむ疾患)のことをいいます。この影響で、精巣の温度が上昇し、精子の製造環境が悪化すると考えられています。


造精機能障害が引き起こす症状としては、

  • 精子の数が少ない「乏精子症」
  • 精子の動きが悪い、奇形率が高いなど、受精する力が低下した「精子無力症」
  • 射精された精液の中に精子が全くみられない「無精子症」

などが挙げられます。ただし、無精子症には、精巣で精子がつくられているにも関わらず、後述する精子輸送障害によって精液中に精子が出てこない「閉塞性無精子症」も含みます。


精子輸送障害

精子輸送障害の図解

精子の通り道である精管が詰まっており、精子を精液までうまく運べない状態を精子輸送障害といいます。


精巣上体が感染症によって炎症を起こし精管が詰まることや、鼠径ヘルニアの手術のときに誤って精管を縛られてしまい、精管の癒着が起こることなどが挙げられます。また、生まれながらに精管がない精管欠損も精子輸送障害の原因になります。


性機能障害

性行為に至るまでの充分な勃起が起こらない、充分な勃起を持続できない、または射精に問題がある状態が性機能障害です。


  • 勃起障害

EDやインポテンツと呼ばれるもので、充分な勃起が得られない、または勃起の持続が不可能な状態を勃起障害といいます。主な原因は、加齢やストレス、緊張などの精神的な要因、メタボリックシンドロームや糖尿病などによる微小血管障害などと考えられています。


  • 膣内射精障害

膣内での射精ができない状態を、膣内射精障害といいます。妊娠を焦っている、本当は妊娠を望んでいないなど心因性の場合もあれば、自慰の際のグリップ力が強かったり、刺激の方法が不適切であったりしたせいで、膣内での刺激では物足りなくなることが原因となる場合があります。


  • 逆行性射精障害

射精をしても精液が尿道へ送られず、膀胱へと逆流してしまう状態を逆行性射精障害といいます。尿道にある尿と精液が混ざらないようにする弁の機能が、うまく働かないために起こると考えられています。


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検査方法

検査は、麻疹、成人後のおたふく風邪、停留睾丸(精巣が陰嚢内におりてこない先天的異常)などの既往歴や、性生活の状況を問診するところから始めます。その後、精液検査、超音波検査、尿検査、血液検査などが行われます。


精液検査

受診したほとんどの人が受ける一般的な検査です。


精液検査は、自慰によって採取した精液を顕微鏡で観察し、精液量、精子濃度、精子運動率、精子生存率、精子奇形率をWHO(世界保健機関)の基準のもとに判断します。


一度の検査だけで判定することは少なく、通常は3か月以内に2回行い、総合的に診断されます。


視診、触診、超音波検査(エコー検査)

精巣、精巣上体、精管、前立腺などの検査を行います。特に男性不妊の原因の約4割を占める精索静脈瘤の有無を検査します。


尿検査

精子に悪影響を及ぼす感染の有無などを検査します。


血液検査

血液検査を受けている様子

精子形成に関連するホルモンや染色体を検査します。


治療方法

男性不妊の治療は、薬物療法、外科的療法、カウンセリングなど様々です。外科的療法は一般的に泌尿器科で行います


造精機能障害の治療方法

精液検査の結果によって治療の進め方は異なりますが、一般的には薬物療法を行います。3か月程治療を行っても不妊の改善ができない場合は、人工授精、体外受精、顕微授精へステップアップします。


乏精子症の場合は、精子が見つかれば人工授精、体外受精、顕微授精を行い、無精子症の場合でも精巣上体や精巣に精子があれば顕微授精を行います。


精索静脈瘤と診断された場合は、手術を行う場合もあります。手術により60%から70%の患者に精液の状態の改善が認められ、自然妊娠率は30%になるといわれていますが、改善されない場合もあります。


→人工授精について詳しくはこちら

→体外授精について詳しくはこちら

→顕微授精について詳しくはこちら


精子輸送障害の治療方法

精子輸送障害では、精子の通り道の再建手術を行い、閉塞している箇所の切り取りや、吻合(分離している箇所をつなぎ合わせること)をします。


手術ができない場合は、射出精液に精子がいればそれを用いて、射精ができない場合や精液中に精子がいない場合は、精巣上体や精巣の精子を取り出して体外受精や顕微授精を行います。


性機能障害の治療方法

ストレスや精神面、トラウマが原因の場合は心のケアやカウンセリングの治療を受けます。他にも、射精方法のレクチャー、薬の服用などの治療をしていきます。


逆行性射精障害の場合は、膀胱内に射精した精子を用いて人工授精や体外受精を行います。


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自分でもできる改善法

男性不妊の改善のために、セルフケアできることは色々とあります。また、精液検査で特に問題がなかったとしても、タバコは悪影響を及ぼしますので、禁煙しましょう。 

食事

食習慣の見直しは大切です。精子は活性酸素の影響を受けやすいといわれているため、抗酸化作用のある食べ物を意識的に摂取しましょう。肉ばかりを好んで食べる人は魚も意識して増やしましょう。


太っている人は標準体重を目指すことが大切です。


漢方

漢方に効果があるというデータは乏しいですが、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などが使われることがあります。


サプリメント

サプリメントであれば日常生活の中で手軽に取り入れることができます。


ビタミンC、ビタミンE、葉酸、亜鉛が不足している人は、サプリメントを使って補うことで効果が期待できます。しかし、過剰にとれば妊娠しやすくなるということではありません。


まとめ

まずは不妊の原因の半数近くは男性にもあるということを知ることが大切です。男性も検査を受け、協力し合うことが妊娠への第一歩となります。治療の際には、精子が新たにつくり出される3か月間を一つの目安とし、焦らずに継続することをおすすめします。

※本記事の内容は掲載時点の情報であり、最新の情報とは異なる場合があります。予めご了承ください。


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