【医師監修】化学流産とは?起こる時期や発生確率、症状、原因、その後の妊娠可能性について

更新日:2017/03/07

化学流産とは、受精したものの着床しなかったか、着床してすぐに成長が止まってしまい妊娠に至らなかった状態のことをいいます。「妊娠検査薬で陽性反応が出ても、結局妊娠せず、月経がきてしまった」といった状況のことです。ここでは化学流産の起こる時期や確率、症状、原因、その後の妊娠確率について解説します。

妊娠検査薬

●化学流産とは
●起こる時期
●主な兆候、症状
●原因
●化学流産後の妊活、妊娠の可能性について
●誰でも起こりうる、出産へのステップ


化学流産とは

化学流産

妊娠検査薬で陽性反応が出たものの着床しなかったか、着床してすぐに流産してしまい、超音波検査(エコー検査)で子宮内に胎嚢(たいのう)が確認できる前に妊娠が終わってしまうことを化学流産といいます。


化学流産は、妊娠の最も初期に起こる流産ですが、医学的には流産の回数にはカウントされません


起こる時期

化学流産が起こる時期

化学流産が起こる時期は、妊娠3週から4週頃とされています。


化学流産した場合は、月経(生理)のような出血と共に、妊娠反応が消えてしまいます。


起こる確率

妊娠検査の精度が上がったことにより、化学流産が誰にでも起こりうること、しかも高い頻度で起こることが分かってきました。


何の異常もない健康な若い年齢のカップル間でも、30%から40%という決して低くない確率で起こっています。さらに、年齢が高まるにつれて、卵子や精子も老化するため、化学流産が起こる確率も高くなります。


主な兆候、症状

化学流産の症状で最も顕著なのは、出血が起きることです。月経予定日より少し遅れたのち、出血が起こるといった特徴があります。


腹痛や腰痛が起こり、血の塊を伴う出血が起きる

腹痛

受精卵の着床に備えて厚くなっていた子宮内膜が剥がれるため、通常の月経よりも強く腹痛を感じたり、腰痛を感じたりすることがあります。また、発育が止まった子宮内容物が血の塊となって出てくることがあるので、どろっとした出血を感じることがあります。


いつもより月経が重いと感じることで、化学流産であることに気づく人も多いようです。


基礎体温が下がる

化学流産が起こると妊娠を維持するために分泌されていた黄体ホルモンの働きが弱まり、高温期から低温期に変わるため、体温は下がります


原因

化学流産の原因は、主に染色体異常にあるといわれており、偶然に起こるものです。しかし、化学流産を何度も繰り返す場合は、精密検査を行うこともあります。


主な原因は染色体の異常

市販の妊娠検査薬を使ったフライング検査の増加に伴い、化学流産が注目されるようになりましたが、先で述べたとおり、化学流産のほとんどは受精卵の染色体異常が原因です


人間の受精卵は、約45%に染色体異常が起こっているといわれています。染色体異常のある受精卵は、着床障害を起こしやすく、約半数は着床できずそのまま月経となります。子宮に着床できた約半数の受精卵も、出産まで至る確率は非常に低く、ほとんどが流産となってしまいます。


しかしながら、染色体異常を予防する方法は現代の医学でも解明されていません


運動不足も原因に

運動不足

染色体異常以外の原因として、卵子や精子の老化も、化学流産の確率を高めてしまうことが分かっています。


そして、運動不足は卵子や精子の老化を早めてしまうことが確認されていますので、老化を抑えるために適度な運動を心がけましょう。卵子の老化を防ぐためには、有酸素運動が効果的といわれています。ウォーキングやヨガなどは無理なく手軽に続けられるのでおすすめです。


自律神経の乱れによるホルモンバランスの崩れ

仕事や人間関係などで過剰なストレスを受け続けると自律神経が乱れ、ホルモンのバランスが崩れます。ホルモンバランスが崩れると、子宮の機能にも不具合を起こします。


男性もストレスを受け続けると精子が減少するなどの機能障害を引き起こす可能性がありますので、気をつけましょう。


飲酒や喫煙は影響するのか

飲酒

適度な飲酒はストレス解消にもなりますが、飲みすぎると卵子や精子の老化につながります


また、妊娠中に多量のアルコールを摂取すると「胎児性アルコール症候群」によって赤ちゃんに知的障害が起こる危険性があります。妊娠の可能性が少しでもある場合は、アルコールは控えたほうが良いでしょう。


喫煙ももちろん、卵子や精子の老化を促進します。


冷え症は影響するのか

冷え性によって、排卵が起こりづらくなったり、月経不順になりやすくなったりすることはありますが、化学流産の確率が高くなるということはありません


むしろ、医学的根拠のない民間療法の「冷えとり」や「体質改善」を過信して、時間やお金を無駄にしないようにしましょう。


化学流産後の妊活、妊娠の可能性について

化学流産を起こした場合、妊娠反応が消えていれば、その後特別な治療や検査は必要ありません。次のチャンスに向けて、すぐに準備に入ることができます


また、化学流産が繰り返し起きてしまう人もいますが、その回数が増えるほど妊娠しにくくなるということはありません


誰でも起こりうる、出産へのステップ

赤ちゃんを待ち望んでいる人ほどフライングで妊娠検査薬を使ってしてしまうことが多いため、化学流産に気付いてしまいます。化学流産は医学的には流産の回数には含まれないものとはいえ、事実を知ればショックを受ける人も少なくありません。


しかし、化学流産は決して珍しいことではなく、比較的多くの人が経験しています。着床が続かなかったからといって悲観的になるのではなく、その原因を把握し、日頃の生活習慣を見直したり、専門医に相談したりすることが妊娠の確率を高めるうえでとても大切です。

※本記事の内容は掲載時点の情報であり、最新の情報とは異なる場合があります。予めご了承ください。


記事監修医師宋美玄先生  

【 監修者 】
 産婦人科医・医学博士
 宋美玄 先生

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