【医師監修】切迫早産とは?原因や兆候、対処方法について

更新日:2017/03/07

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切迫早産とは、「早産になりかかっている状態」をいいます。切迫早産と診断された場合、何よりも安静が大切になります。ここでは、切迫早産の主な原因や兆候、対処法、入院と自宅安静の違い、予防のための過ごし方などを解説します。

妊婦

●切迫早産とは
●起こる時期
●原因
●主な兆候、症状
●対処法
●予防するための過ごし方
●切迫早産の兆候に気づくために


切迫早産とは

切迫早産

切迫早産は、正期産よりも早い時期に子宮収縮が活発になったり、子宮頸管が短くなったり柔らかくなるなどの症状があり「早産しかけている状態」のことをいいます。


一口に切迫早産といっても様々な状態がありますが、深刻なケースの場合、本来は閉じているはずの子宮口が開いてしまい、早産を起こしてしまいます。また、子宮内感染がある場合、前期破水(陣痛より前に破水してがしまうこと)が起きて、早産のリスクを高めてしまうこともあります。


起こる時期

切迫早産の時期

一般的な基準では、妊娠37週0日から41週6日の間に出産することを「正期産」といい、それ以前の妊娠22週0日から36週6日の間(妊娠中期や後期)に赤ちゃんが生まれることを「早産」といいます


先に述べた通り、切迫早産は正期産より早い時期(37週未満)に「早産しかけている状態」のことを指します。


尚、切迫流産と切迫早産の分かれ目は妊娠22週目とされており、妊娠22週未満の妊娠初期に腹痛や出血などの症状が出た場合は「切迫流産」と診断されます。切迫流産も安静第一ですが、妊娠初期の出血自体は珍しくなく、胎盤が形成される5か月頃に症状が治ることも多くあります。


→切迫流産について詳しくはこちら


原因

医師と患者

切迫早産の原因としては、体質によって子宮が収縮しないのに子宮口が開いてしまうことなども挙げられますが、一番多い原因は「母親の感染症」であるといわれています。


細菌感染

妊婦が細菌に感染すると、子宮内に炎症が起きることがあります。子宮頸管の炎症(頸管炎)は、細菌が繁殖した膣(細菌性膣症)からの感染や、クラミジアの感染が原因です。


これらの菌が子宮内部まで広がって、赤ちゃんを包んでいる卵膜や羊水に感染すると「絨毛膜羊膜炎」が起きます。絨毛膜羊膜炎を引き起こした場合、炎症と共に子宮の収縮も促進されてしまうため、前期破水や早産につながる恐れがあります。


細菌感染した場合は、重症化する前に、早めに治療することが大切です。


頻繁な子宮収縮

妊娠中期や後期に子宮収縮が頻繁に起きると、子宮口が開いて切迫早産の状態になりやすくなり、そのまま前期破水や早産につながる恐れもあります。早産の兆候が認められた場合は、安静にしたり、子宮収縮を抑える薬を投与したりして、少しでも長く持たせるようにします。


妊娠中期以降の妊婦検診では経膣超音波検査(エコー検査)で子宮頸管の長さを測り、切迫早産の予兆があるかどうか確認することもあります。


子宮頸管無力症

子宮頸管がゆるんで長さが短くなり、子宮口が開きやすくなる病気を子宮頸管無力症といいます。体質的に子宮頸管の力が弱いことなどが原因で発症すると考えられています。


子宮頸管無力症と診断された場合は、安静にするか、手術で子宮口を縛る方法(子宮頸管縫縮術)で治療します。手術には感染のリスクもあるので、適応があるかどうか慎重に判断されます。


主な兆候、症状

切迫早産の予兆には、腹痛、出血、規則的な腹部の張りなどがあります。


腹痛

腹痛

妊娠中は便秘になりやすく、それが強い腹痛の原因となることもあり、切迫早産の症状と似ていて紛らわしいことが多々あります。


しかし、妊娠中期や後期に下腹部を中心とした痛みを感じ、それが続く場合は注意が必要です。特に1時間に数回程度の痛みが規則的に繰り返されるような症状がある場合は、切迫早産の兆候かもしれません


出血

妊娠初期には出血は珍しくありませんが、中期以降は基本的に出血しません


出血がある場合、切迫早産以外にも、妊婦健診の内診や性行為で膣に摩擦が起こったことによる出血、子宮頸管のポリープからの出血、胎盤の早期剥離なども考えられます。


出血の原因が切迫早産に関係しているかどうかを自分で判断することはとても難しいため、早めにかかりつけの産婦人科を受診してください。


腹部の張り

腹部の張り

子宮はほぼ筋肉でできていて、普段はゆるんだ状態ですが、1日に何回かは子宮収縮が起こり、下腹部が張って硬くなる感じがします。それ自体は生理的な現象で、一時的な症状であれば問題はありません。


しかし、妊娠中期や後期に継続的に腹部が張り、寝ていても目が覚めるほどだったり、1時間ほど横になって休んでも治らなかったり、痛みや出血を伴う場合は切迫早産の予兆である可能性が高いです。


恥骨痛

切迫早産となり、子宮口が開いて赤ちゃんが下がってくると、周りの骨盤なども強く圧迫されるので、特に妊娠後期には恥骨痛を感じることが多くなります


このような兆候がある場合は、一人で悩んだり次の定期検診を待ったりせず、かかりつけの産婦人科に連絡して主治医の診察を受けましょう。


対処法

妊娠中期や後期に切迫早産と診断された場合「安静にする」ことが最も重要な対処方法になります。自宅または病院にて、ややゆっくりとしたペースで生活することを心がけましょう。


ただし、子宮の収縮が激しく子宮口の開きがある妊婦には、子宮収縮抑制剤を投与する場合もあります。


入院

入院

母体の状態により、自宅安静か入院かを医師が判断します。入院する場合は、長時間ベッドに横たわって子宮収縮抑制剤の点滴を受けることになり、主治医の問診やノンストレステスト(子宮が収縮した際の赤ちゃんの心拍を測るなど)が毎日のように行われます。


退院の目安は、子宮の収縮が収まり子宮口が落ち着いて、自宅安静に切り替えても良いと主治医が判断するまでです。そのため入院期間には個人差があり、最長で4、5か月間(妊娠22週目から出産間近の36週目まで)入院が必要になることもありえます。


入院が長期化すると費用面が心配になりますが、切迫早産による長期入院は健康保険が適用されるので、高額療養費制度や妊産婦医療費助成制度を利用すると自己負担額を減らすことができます。


入院は、家事や仕事をきちんと休んで治療に専念することができ、不安な事を毎日の問診時に相談することができる点が大きなメリットです。しかし、家族から離れて過ごす寂しさがあると同時に、大部屋では他の患者に気を使う必要があり、他人の話し声やいびきにも悩まされるかもしれません。


入院中のストレスを少しでも減らせるように、耳栓やアイマスクなどの快眠グッズを用意したり、入院を機にちょっと良いスキンケア用品を揃えて肌のお手入れに時間をかけてみたりと、毎日の過ごし方を工夫しながら乗り切りましょう。


自宅安静

自宅安静

自宅安静には、医師から外出が許可されるケースもあれば、絶対安静に近い指示が出るケースもあります。


どの程度の安静が必要なのか、決して自己判断をしないこと、そして家族にもきちんと理解してもらうことが重要です。そのため、事前に想定される行動を書き出しておいて、問診の際に「近所のコンビニまでなら行ってもいいですか?」「入浴はできますか?」「トイレや食事以外は横になっている必要がありますか?」などと聞いて確かめておくと良いでしょう。


また、外出可能だとしても重い荷物を持ったり、長時間歩いたりすることは厳禁です。短時間の外出であっても必ず母子手帳や保険証を携帯し、急な体調の変化にも即座に対応できるようにしておきましょう。


張り止めの薬や点滴の投与

子宮収縮の頻度や張りの強さを抑えるために、子宮収縮抑制剤が処方されます。薬の種類は主に、塩酸リトドリン(商品名:ウテメリン)、硫酸マグネシウム(商品名:マグセント)が使われます。ウテメリンは経口もあります。


ただし、子宮収縮抑制剤を使えば早産を防げるということではありません。薬には利点とリスクの両面が必ずあるので、主治医の説明にきちんと納得したうえで治療を受けるようにしましょう。


早産の出産

切迫早産と医師に診断されるのは全妊婦のうち約4割にものぼりますが、実際に早産する割合は、全妊婦のうち5%程度だといわれています。


より早く生まれた赤ちゃんほど、命のリスクや合併症のリスクなどが高くなりますが、週数や大きさ、子宮内での状態によってリスク度合いは異なります。


早産の場合は、新生児特定集中治療室(NICU)に入り、早産児や低出生体重児のための専門的な治療を受けることもあります。


予防するための過ごし方

切迫早産の予防方法として、特に安静にする必要はありませんが、感染症には十分に注意する必要があります。男性の精液には、絨毛膜羊膜炎の原因菌や子宮を収縮させる物質が含まれていること、クラミジア感染症や淋菌感染症などの性感染症も切迫早産の原因となることを知っておいてください。


また、安定期に入っても、遠出したり、テーマパークで歩き回ったり、ホットヨガのようなハードな運動を始めたりすることは控えましょう。妊娠中は仕事も遊びもほどほどにして、心身ともにストレスの少ない過ごし方を心がけてください。


切迫早産の兆候に気づくために

出産予定日は、あくまでも目安です。実際には、多くの人が予定日を前後して出産をしています。教科書通りの出産や、正期産にならないケースも多々あるという心構えを持っておくと、切迫早産の兆候にも気づきやすくなるかもしれません。


妊娠中は決して無理をせず、普段とは違う症状を感じたら放っておかずに、早めにかかりつけの産婦人科を受診してください。

※本記事の内容は掲載時点の情報であり、最新の情報とは異なる場合があります。予めご了承ください。


記事監修医師宋美玄先生  

【 監修者 】
 産婦人科医・医学博士
 宋美玄 先生

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