≪医師監修≫乳腺の穿刺吸引細胞診とは?検査は痛い?悪性の場合はどうする?

更新日:2017/12/06

乳がんの検診を受け、精密検査として細胞診などを受けるようにいわれると、不安に思われる方も多いでしょう。このコラムでは実際に乳がんの各種精密検査から、外科手術までを担当されている乳腺外科の医師に、検診以降の各種精密検査の具体的方法やそれらの検査の必要性などについてお聞きしました。


記事監修医師上野貴史先生  

【 記事監修 】
 板橋中央総合病院 乳腺外科医長
 上野貴史 先生


●細胞診が必要といわれても恐れないで
●穿刺吸引細胞診は乳腺の細胞診のひとつ
●穿刺吸引細胞診とは
●穿刺吸引細胞診は痛いの?
●細胞診の結果の見方
●細胞診の結果が出た後はどうする?悪性だった場合は?
●まとめ


細胞診が必要といわれても恐れないで

日本対がん協会が2015年に全国で行った乳がん検診では、検診を受診した約120万人のうち、精密検査が必要と判定されたのは約5%、精密検査の結果がんが見つかった人は精密検査受診者の0.24%でした。ただし、実施施設や統計の採り方などによって異なっており、一概には言えません。


上記のデータでも分かるとおり、100人に5人は要精密検査と診断されています。また、乳がんは早期に見つけて適切な治療を行えば約80%以上の方で治癒が期待できるがんです。したがって、要精密検査と判定されても怖がらないでください


≪みんなのQ&A≫

皆さんの乳がんが発見されたきっかけはなんでしたか?


穿刺吸引細胞診は乳腺の細胞診のひとつ

乳腺の細胞診には「穿刺吸引細胞診」と「分泌液細胞診」の2種類の検査方法があります。


分泌細胞診は乳頭から分泌液が出ている受診者でのみ可能で、分泌液を絞り出していただき、その中にがんを疑う細胞がないかを顕微鏡で調べる検査です。通常はしこり(腫瘤)に対して、穿刺吸引細胞診を行うことが多いため、以下は穿刺吸引細胞診について説明します。


穿刺吸引細胞診とは

穿刺吸引細胞診

穿刺吸引細胞診は、通常の注射器で腫瘤内の細胞を吸引します。穿刺吸引細胞診に使う針は21ゲージ(外径0.8mm、内径0.57mm)または22ゲージ(外径0.7mm、内径0.48mm)です。穿刺吸引細胞診は陰圧をかけ内筒を引いて検体を吸引し、採取した検体をスライドグラスに吹き付けて顕微鏡で細胞を観察します。針が細いので痛みも少なく、簡便に実施できる利点があります。


穿刺吸引細胞診の費用、所要時間、結果が出るまでにかかる日数

2017年度時点では、3割負担の場合費用は570円です。検査時間は初めに局所麻酔を行い、針を刺して吸引するだけなので2、3分で終わります。院内で病理検査をやっている施設では、簡便な固定染色での迅速診断を行えば1時間以内で結果は出ます。迅速で結果を出す必要のない通常の場合では、施設毎の病理医の検体処理数によって結果が出るまでの日数は変わってきます。4、5日といったところが平均でしょう。普通は業者(検査センター)に依頼するため、結果が出るまで4、5日かかります。


≪みんなのQ&A≫

乳がんの細胞診・針生検について体験談を教えて!


穿刺吸引細胞診は痛いの?

局所麻酔を併用すれば、チクリと感じる程度の場合がほとんどです。局所麻酔を使用しない施設もあり、その場合でも通常はあまり痛まないとされていますが、なかには酷く痛む方もいるようです。局所麻酔を使用するように要求するのが無難でしょう。穿刺吸引細胞診の痛みが長引くという方はほとんどいません。


細胞診の結果の見方

細胞診での判定は、がんの進行度の指標であるステージとは全く異なる概念です。以前はIからVまでの数字で悪性度を表していましたが、現在はまず「検体不適正」、「検体適正」の2区分に分け、適正の場合は正常あるいは良性、鑑別困難、悪性の疑い、悪性のいずれかに判定されます。


判定区分

検体不適正
(細胞が一定量とれていない場合など)

検体適正
 ・正常あるいは良性
 ・鑑別困難
 ・悪性の疑い
 ・悪性

所見

(1)判定した根拠を具体的に記載する
(2)乳癌取扱い規約組織分類に基づき可能な限り推定される組織型を記載する

乳腺細胞診・針生検の判定区分について(乳腺細胞診・針生検新報告様式:乳癌取り扱い規約第15版より導入)


細胞診の位置づけ

細胞診は組織診断でないためあくまでスクリーニングとしての検査であり、良性病変であることを確認する意味で行なわれることが多く、画像所見からほぼ良性と考えられる場合に、細胞診で裏付けを取るのがよい適応となります。


また、病変が非常に小さく、組織診用の針生検が難しい場合や、病変内部が液体で満たされていて、そこに細胞が浮いているような場合は、組織診が困難なため細胞診を行うことが多いです。


細胞診よりも組織生検をすることが通常となってきている

細胞診は組織診に比べて情報量が少ないため、確定診断となることはなく、現在は徐々に使われなくなっています。また、現在は乳がんがあるか、ないかだけでなく、薬物療法との関係でサブタイプ(どういう性質のがんかを示す分類)まで決定しないと意味がないという時代なので、悪性が疑われる病変では、細胞診をせずに、組織生検をすることが多くなっています。


細胞診の結果が出た後はどうする?悪性だった場合は?

細胞診で正常あるいは良性と判定され、画像所見でもがんを疑う所見がなければ良性病変として経過観察を行うだけで心配ないでしょう。鑑別困難、悪性の疑い、悪性と判定された場合は、必ず組織診を行います。原則として組織診の判定がないと手術は行いません。


まとめ

乳がん細胞診は乳がん検診後の一次精密検査として長く行われて来ましたが、サブタイプ分類による治療方針の違いなどから、悪性病変に対しては、その意義は失われており、既に組織診にその座を譲っています。細胞診は画像上良性と判断される病変に対してのスクリーニング目的が一番の適応です。ただ、悪性が疑われる病変でも、針生検を行いにくい2 、3mmのごく小さな腫瘤や内部が液体で満たされ、細胞が浮いているような腫瘤では今も診断意義があります。

※本記事の内容は掲載時点の情報であり、最新の情報とは異なる場合があります。予めご了承ください。


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