≪医師監修≫乳がんの様々な分類、ステージと生存率について

更新日:2017/01/16

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乳がんには「組織型」「ステージ(病期)」「サブタイプ」と分類法が3つあります。これらは乳がんの治療法を決めるにあたり重要なものとなります。ここではそれぞれの分類法や、分類ごとの治療法、ステージごとの生存率について詳しく解説します。


記事監修医師福田護先生  

【 記事監修 】
聖マリアンナ医科大学
ブレスト&イメージングセンター
院長  福田護 先生


ピンクリボン

●乳がんの分類
●組織型分類
●ステージ分類(病期分類)
●サブタイプ分類
ステージと生存率の関係
●まとめ


乳がんの分類

乳がんには、「組織型」「ステージ(病期)」「サブタイプ」と3つの分類法があります。


  • 組織型
    がん組織の構造や、がん細胞の特徴、がんの広がり方の特徴などによって分類する方法。
  • ステージ(病期)
    乳がんの進行度によって分類する方法。
  • サブタイプ
    乳がん細胞の遺伝子の特徴によって分類するもの。

組織型分類

組織型を調べる際には、まず「生検」を行います。患部に針などを刺して腫瘍の一部を直接取り出し、がん細胞がどの組織型に分類されるかを調べます。これは「組織診」とも呼ばれる精密検査のステップです。


組織型の3つの分類

乳がんの組織型分類

組織型は「非浸潤がん」「浸潤がん」「パジェット病」に分類されます。がんが乳管の外へ浸潤(拡大)しているかどうかが分類において重要となります。

乳がんの進展の仕方

非浸潤がん・浸潤がん・パジェット病の特徴

【 非浸潤がん 】
非浸潤がんは、がんを切除すれば転移の心配がなく、非常に予後が良いがんとなります。


【 浸潤がん 】
浸潤がんはがん細胞が乳管以外の組織にまで及んだがんとなり、転移の可能性が出てくるため、手術療法だけでなく薬物療法が必要となります。浸潤がんの多くは、「乳頭腺管がん」「充実腺管がん」「硬がん」のどれかです。ただ、少ないながら特殊型があり、その中には特徴的な進展をするものがあります。


【 パジェット病 】
乳頭内乳管上皮にがん細胞がある場合は「パジェット病」として分類されます。パジェット病は全乳がんの約1%と非常に珍しく、予後の良いがんです。


ステージ分類(病期分類)

ステージ(病期)は、「しこりの大きさ(T)」「リンパ節への転移の有無(N)」「他の臓器への転移の有無(M)」の3つの要素によって決められます。そのため、TNM分類ともいわれます。

それぞれの詳しい分類については、以下の表の通りです。

ステージ

がんの種類 しこりの大きさ リンパ節転移

ステージ0

 

非浸潤癌

問わない

なし

ステージⅠ

 

浸潤癌

(早期癌)

2cm以下

なし

ステージⅡ

 

A期

浸潤癌

(早期癌)

2cm以下

あり

2cmから

5cm

なし

B期

あり

5cm以上

なし

ステージⅢ

 

A期

浸潤癌

(局所進行癌)

問わない

わきの下のリンパ節に転移があり、リンパ節同士の癒着がある

2cm以下

胸骨の内側のリンパ節に転移がある

5cm以上

わきの下または胸骨の内側のリンパ節へ転移がある

B期

しこりの大きさやわきの下のリンパ節への転移に関係なく、しこりが胸壁に固定していたり、皮膚上に現れたりしている

C期

しこりの大きさに関係なく、わきの下のリンパ節と胸骨の内側のリンパ節の両方に転移がある

または、鎖骨上下のリンパ節に転移がある

ステージⅣ

 

浸潤癌

(遠隔転移)

しこりやリンパ節の状態に関係なく、肺、肝臓、脳、骨などに遠隔転移している


しこりの進行

乳がんのしこりの経過

しこりの大きさは以下のような経過をたどり、直径1cmになるまでおよそ10年かかるとされています。

乳がんが「早期発見しやすく、早い時期に治療を開始しやすい病気」だといわれているのは、早期段階において「しこり」として自覚しやすいうえ、しこりの成長が比較的ゆっくりとしているためです。


サブタイプ分類

サブタイプとは、乳がんの細胞が持っている遺伝子の特徴による分類です。乳がん治療において重要となるのが、「ホルモン受容体」「HER2」「Ki-67」です。


  • ホルモン受容体
    陽性かどうか(ホルモン剤が適合するかどうか)は、ホルモン療法を行ううえでの指標となる。
  • HER2
    がん細胞の働きを促すタンパク質であり、これが陽性であるか否かで乳がん治療の一つ「分子標的療法(抗HER2療法)」の有効性が分かる。
  • Ki-67
    がん細胞が増殖する能力が高いかどうかを示す。この値が20%以上だと、「繁殖力が強い」と分類される。

サブタイプの5つの分類

乳がんのサブタイプ分類

ホルモン受容体、HER2、Ki-67によって、乳がんのサブタイプは5つに分類され、治療方針を決める上で重要な指標の一つとなります。


  • ルミナールA
    ホルモン受容体は陽性であり、HER2が陰性、かつKi67が20%未満
  • ルミナールB(HER2陰性)
    ホルモン受容体は陽性であり、HER2が陰性、かつKi67が20%以上
  • ルミナールB(HER2陽性)
    ホルモン受容体、HER2ともに陽性であり、Ki67の数値は問わない
  • HER2
    ホルモン受容体は陰性であり、HER2が陽性、Ki67の数値は問わない
  • トリプルネガティブ
    ホルモン受容体、HER2ともに陰性であり、Ki67の数値は問わない

→トリプルネガティブについて詳しくはこちら


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ステージと生存率の関係

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乳がんのステージ別10年生存率は、以下の通りです。(全がん協加盟施設の共同調査データより)

  • ステージ1…93.7%
  • ステージ2…85.5%
  • ステージ3…54.9%
  • ステージ4…15.9%

乳がんでは、他のがんと違って、5年生存率ではなく10年生存率を使います。これは、乳がんが進行の遅いがんであり、5年間再発していなくても、10年までの間に再発する人が一定数いるためです。

全ステージを含む10年生存率は「80.3%」であり、他のがんと比較すると、乳がんは予後の良いがんといえます。


まとめ

インターネットの普及により、昔に比べたくさんの情報を手に入れることができるようになりました。生存率についても様々な情報が飛び交っており、中にはネガティブなものもあるため「一体何を信じて良いのか分からない」とさらに不安に感じてしまう人も少なくありません。

治療において、不安なことや心配なことがあれば、必ず主治医もしくは担当看護師へその思いを伝えるようにしてください。そして、ご自身及びご家族みなさんで納得できる治療方針を、主治医や医療関係者と共に決めていただければと思います。


※本記事の内容は掲載時点の情報であり、最新の情報とは異なる場合があります。予めご了承ください。


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