≪医師監修≫乳がんの症状とは?しこり、痛み、ひきつれ、分泌物の特徴について

更新日:2017/01/16

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乳がんは、早期であればあるほど自覚症状のない病気といわれますが、当然全くないというわけではありません。ここでは、乳がんになると起こる主な症状や、早期発見のためのセルフチェックの方法、検診について解説します。


記事監修医師福田護先生  

【 記事監修 】
聖マリアンナ医科大学
ブレスト&イメージングセンター
院長  福田護 先生


●初期症状
●症状チェック
●検診に用いる検査法
●まとめ


初期症状

乳がんの触診と視診チェックポイント

乳がんは、早期の場合はほとんど自覚症状がありませんが、進行と共に、乳房のしこりや痛み、くぼみ、ひきつれを感じたり、乳頭からの分泌物、乳頭部のただれなどの症状が現れたりします


【 視診 】

鏡に映った乳房を見て、

  • しこりやくぼみによって左右の乳頭の位置がずれている
  • 乳頭がただれている
  • 皮膚に赤みがあり熱を持っている

などの症状があれば病院で検査が必要です。


【 触診 】

乳がんを自己発見する最も多いきっかけは乳房のしこりです。そのため、自分で乳房を触ることが重要です。時には、血性の乳頭分泌や大きなリンパ節が乳がん発見のきっかけになります。そのため、乳頭を絞って分泌物の有無を確認したり、腫れたリンパ節が触らないかを確認したりすることも必要です。


乳腺のひきつれ

乳がんの症状として、乳房の皮膚にひきつれが起こる場合があります。ひきつれの下にしこりがある場合と、ひきつれだけの場合があります。


乳がんが大きくなる過程で周辺の組織を巻き込んで、皮膚にひきつれや、えくぼに似たくぼみができることがあります。


赤みなど乳房の皮膚変化

乳房が赤くなる、腫れる、炎症によって痛みを伴うなどの症状が起こるときは「乳腺炎」の可能性が考えられます。しかし、乳房に赤みがあって腫れる場合、まれではありますが「炎症性乳がん」である可能性があります


炎症性乳がんは、全乳がんの1%から3%といわれ、しこりを形成しないことがほとんどです。痛みは鈍痛がある程度で、乳房内の皮膚の下にあるリンパ管にがん細胞が詰まり、リンパ液の流れが滞ってむくんだ状態になります。病状が進行してくると、橙皮状皮膚(とうひじょうひふ)といって、みかんの皮のように毛穴が目立つようになります。


乳頭からの分泌物

妊娠や授乳期以外で、乳頭から分泌物がみられることを「異常乳頭分泌」といいます。


透明、白色、黄色の分泌物が片側の複数の乳管あるいは両側の乳頭から出てくる場合は、乳汁分泌に関するホルモンの問題や、まれに服用している薬の副作用などが原因と考えられます。しかし、血液が混ざったような褐色や赤色の乳頭分泌がみられる場合は、乳管内に腫瘍がある場合があります。良性、悪性共に可能性があるため乳腺専門医を受診しましょう。


乳房、脇の下のしこり

【 乳房のしこり 】

乳腺にできるしこりは、90%が良性であるといわれています。乳腺の中には良性の腫瘍の他に、分泌物や母乳が袋状の内容液として溜まることで発生するしこり(のう胞)もあるため、しこりを感じたからといってすぐに乳がんであるとは断定できません。


乳がんかどうかは病院で画像検査や、必要であれば生検(乳房の組織や細胞を採取して顕微鏡で検査すること)を行って診断されます。


【 脇の下のしこり 】

脇の下のしこりは、リンパ節に乳がんが転移している場合にできることがありますが、必ずしもそうであるとは限りません。多いのは、感染によって起きたものです。また、脇の下には「粉瘤腫(老廃物が皮膚の下に溜まったもの)」や「脂肪腫(皮膚の下にできる脂肪の塊)」、「毛嚢炎(白ニキビのような細菌感染症)」もできやすく、これらの場合は痛みや赤みを伴っていることがあります。


ただし、しこりが急速に大きくなった場合は、乳がんの転移ではなく、非常にまれですが「悪性リンパ腫(リンパ系組織のがん)」の可能性があります。大きくなったリンパ節が、乳がん転移や悪性リンパ腫によるものなのかといった診断のため、超音波検査で形状を確かめたり、細胞診を行ったりします。


痛み

チクチクとした痛みや張ったような痛みで乳がんを心配する人もいますが、痛みは乳がんの主な症状ではありません


このような痛みは「乳腺症」の可能性をまず考えます。乳腺症とは女性ホルモンが関与している良性の変化によって痛みを伴うもので、月経前に乳房の痛みや張り、違和感などの症状があります。


また、乳房全体が痛む場合は「乳腺炎」の可能性があります。乳腺炎の場合はがんではありませんが、治療が必要となります。他にも、肋間神経痛や胸部の筋肉痛、肋骨の痛みなども乳房の痛みとして感じることがあります。


ただし、まれに痛みをきっかけに乳がんが発見されることがあります


→再発・転移の症状について詳しくはこちら


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症状チェック

乳がんには自覚症状がほぼありませんが、セルフチェックで違和感に気づき、受診をする人が多くいらっしゃいます。

排卵から月経開始までは乳腺が張っているため、月経開始4、5日目から数えて1週間の間に、閉経した人は毎月、日を決めてセルフチェックを行いましょう。


目でチェック

鏡の前に向かって肩の力を抜き、両手を下げた状態で乳房を観察します。


【 チェックポイント 】

  1. 左右の乳房の形や大きさに変化はないか
  2. 乳房に皮膚のひきつれ、くぼみはできていないか
  3. 乳頭の陥没やただれはないか

その後、両腕を頭の後ろで手を組んだ姿勢で正面、側面、斜めから乳房を観察します。最後に乳頭を軽くつまみ分泌物がないかを調べます。


手でチェック

入浴時や就寝前に行うと良いでしょう。


【 チェックポイント 】

  1. しこりがないか
  2. リンパ節が腫れていないか

  • 入浴時
    手に石鹸をつけて滑りやすくした状態で、腕を上げて乳房の表面に渦を巻くようにして触ります。その後、指を広げて指腹ですくうように4本の指で「の」の字を書き、しこりがないかを調べます。最後に指先を揃えて脇の下に差し入れ、リンパ節が腫れていないか確認します。
  • 就寝前、休憩時
    ベッドや床に仰向けになって片方の乳房の下に枕や座布団などを入れ、乳房が横に垂れない状態で均等に広がるようにします。外側から内側へ指を滑らせ、乳房内や脇の下を触ってしこりがないかチェックします。

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検診に用いる検査法

乳がん検診には、対策型検診と任意型検診の2種類があります。


  • 対策型検診
    市区町村で実施される公的なもので、40歳以上を対象としており、マンモグラフィと視触診の組み合わせで行われるのが一般的です。2年に1回の受診が推奨されており、費用が安価であることも特徴です。
  • 任意型検診
    各医療機関が提供するもので、人間ドックに代表されます。何歳でも受診することができ、また、マンモグラフィ、乳房エコー、視触診など検査方法の選択肢もあります。ただし、公的なものではないので、費用の個人負担が大きくなります。

乳がん検診の代表的な検査法として、マンモグラフィと超音波検査があります。


マンモグラフィ

マンモグラフィは乳房専用のレントゲン検査で、透明な圧迫板で片方ずつ乳房を挟んで撮影します。乳房の厚さを薄くするとX線が通りやすくなり、少ない線量で撮影できます。そのため、乳房を伸ばして内外斜位(斜め方向)と頭尾方向(上下方向)の撮影をします。


マンモグラフィの利点は、全体の状態を客観的に把握できることと、がんのサインとされる0.1mmから0.5mmの微細石灰化(カルシウムの沈着)や、しこりの検出が可能なことです。しかし、乳腺が発達して乳房が高濃度に写る場合(高濃度乳房、デンスブレスト)は、しこりが見つけにくいという欠点があります。


マンモグラフィ検診の利益、不利益

マンモグラフィ検診による利益とは、この検診で乳がん死亡率の減少効果が証明されていることです。


一方で、

  • 放射線被ばくがある
  • 実際はがんではないのにがんの疑いがある(偽陽性)と診断される可能性がある
  • 治療しなくても死亡の原因とならない乳がんを見つけてしまう「過剰診断」という側面もある

などの不利益もあります。また、40代女性では高濃度乳房が50代以上の女性より多く、しこりを見つけることができない人の割合が高いことが知られています。


超音波検査(エコー検査)

超音波とは耳で聞こえる音よりさらに高い周波数の音のことをいいます。超音波診断装置から乳房に超音波を当てて、反射波であるエコーを画像化することにより乳房内部を映し出すのが、超音波検査です。


超音波検査の利点は、マンモグラフィで見つけにくい高濃度乳房の中のしこりを映し出せるところです。しかし、マンモグラフィで検出される微細な石灰化は超音波検査では見つけにくいという欠点があります。


また、検査を行う技師や医師の技量が問われる検査であるため、精度が管理された施設で検診を受けることが大切です。


超音波検査の位置づけ

近年、超音波装置やその診断技術の向上によって、超音波検査が乳がん検出手段として大変有用なものになってきています。視触診やマンモグラフィで異常を検出できない乳がんも検出可能で、超音波検査でのみ検出可能な乳がんも多いとされています。


しかし、死亡率減少効果を未だ実証できていないため、任意型検診として実施されています。


視触診の限界

視触診は検診を行う医師の能力によって精度が著しく異なり、その精度管理は難しいといわれています。視触診による検診の感度は低く、検診の視触診はマンモグラフィや超音波検査の補助として用いられます。


まとめ

乳がんは数あるがんの中でも、自分で分かる「症状」という形でサインを発してくれるがんです。月に一度セルフチェックを行い、「おかしいな?」と思ったときは、迷わず乳腺専門医を受診しましょう。

※本記事の内容は掲載時点の情報であり、最新の情報とは異なる場合があります。予めご了承ください。

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