子宮頸がんとは?原因、症状、検査、ステージ、治療、定期検診について

更新日:2017/01/19

子宮頸がんは、20代から30代といった若い世代で急増していますが、実は最も多い年代が40代です。ここでは子宮頸がんの原因、症状、検査、ステージ、治療方法、定期検診などについて解説します。

子宮頸がん

●子宮頸がんとは
●症状
●検診と精密検査
●ステージ分類(進行期分類)
●治療方法
●定期検診の必要性
●まとめ


子宮頸がんとは

子宮がんのうち、子宮の入り口付近(子宮頸部)に発生するがんが、子宮頸がんです。

子宮頸がんになる主な原因は「ヒトパピローマウイルス(HPV)」の感染です。HPVに感染してもほとんどのウイルスは体の免疫力によって排除されますが、ウイルスの一部が残って感染した状態が続き、細胞の異形成(異常な細胞になること)が起きると、その5%から10%が将来的にがんになる可能性をもちます

HPVは潜伏期間が長く、細胞の異形成から5年や10年またはそれ以上という長い時間を経てがんになると考えられています。


原因

お腹に手をあてる女性

先に述べたとおり、子宮頸がんになる主な原因はHPVの感染ですが、実は、HPVへの感染自体は珍しいことではありません。

男性との性交渉経験がある人なら、年齢に関係なく誰にでもリスクがあります。性交渉経験がない場合でも、HPVが付着した自分の手で性器に触れるなどが原因で感染することがあります。また、挿入がなくても外陰部同士の接触で感染する可能性もあります。体を不潔にしないように洗浄することや、コンドームを使うことは多少の予防効果があるといわれていますが、HPV感染を完全に防ぐことはできません

HPV感染以外では「喫煙」が子宮頸がんを引き起こす要因の一つとなっています。


患者数

2012年に子宮頸がんと診断された人は32,519人ですが、約3分の2の人はごく初期のがん(上皮内がん)です。また、同年の子宮頸がんでの死亡者は2,712人でした。(がん対策情報センターの統計より)

子宮頸がんは特に20代から30代の若い世代で急増していますが、がんが進行している患者が最も多いのは40代で、子宮頸がんと診断された人の3割近くを占めています。


症状

お尻に手をあてる女性

子宮頸がんの症状は、がんが進行するほど重くなっていきます。

初期のがんは子宮頸部の粘膜上皮(表面付近)にとどまっていますが、進行するにつれて深いところへ入り込み(浸潤)、さらに子宮頸部以外の膣や骨盤などの部位にも広がっていきます。


初期症状

子宮頸がんになっても、初期の段階では大半の人に自覚症状がありません。これは、定期的に検診を受けないと早期発見が難しいということでもあります。

がんが進行してくると、多くの人に不正出血(月経以外での性器からの出血)の症状が現れるようになります。他にも、性交出血(接触出血)が起きたり、悪臭がある赤色のおりものが出てきたりするなどの症状も現れます。


進行がんの症状

子宮の周囲にある膀胱、直腸、骨盤などにがんが広がった場合は、腰痛や骨盤の痛み、腹痛、閉塞性尿路疾患、血便、血尿などが起こります。他にも、頻尿や排尿困難、排便困難、発熱、貧血、めまいなどの症状もみられるようになります。


再発・転移の症状

子宮頸がんが再発しても、初期の段階では症状は現れないことが多いです。がんが進行すると、不正出血やおりものの異常など、初発時と同様の症状が現れます。

子宮頸がんは、肺、リンパ節、脳、骨、肝臓などへ転移する可能性もあり、再発部位によって様々な症状が現れます。

→症状について詳しくはこちら


検診と精密検査

子宮頸がんの検査の流れ

子宮頸がんを調べる方法は「検診」と「精密検査」の二段階となっています。検診では、細胞診が行われ精密検査の必要があるかどうかが調べられます。


検診の方法

月経(生理)、妊娠、出産歴などについて問診票に記入後、医師による「内診」と「細胞診」があります

内診では、患者が内診台に腰掛けた状態で、医師が子宮頸部を目で確かめる視診と、子宮全体や卵巣などを触って確かめる触診を行います。その後、ヘラのようなもので子宮頸部の粘膜から細胞を採取して検査する細胞診を行います。

検診には10分程度の所要時間を要し、結果は早くて1週間、遅くとも1か月程度で判明します。


細胞診の分類

細胞診の結果は、ベセスダシステムによって「陰性:異常なし」「ASC-US:判断しかねる」「陽性:異常あり」の3種類に分かれます。ASC-USや陽性の場合は、子宮頸がんや異形成の疑いがあるため、精密検査を受ける必要があります。

陰性(−)
NLLM

判定

異常なし(1年から2年後に検診)

ASC-US(±)
軽度扁平上皮内病変の疑い

判定

異常あり(要精密検査)

精密検査の内容

・ハイリスクHPV検査
・コルポスコピーと生検
・がん検診

その後

・ハイリスクHPV検査が陽性の場合はコルポスコピーと生検
・ハイリスクHPV検査が陰性の場合は1年後に検診

陽性(+)
・高度扁平上皮内病変の疑い(ASC-H)
・HPV感染または軽度異形成(LSIL)
・中等度異形成、高度異形成、上皮内がん(HSIL)
・扁平上皮がん(SCC)
・腺異型または腺がんの疑い(AGC)
・上皮内腺がん(AIS)
・腺がん(Adenocarcinoma)
・その他の悪性腫瘍

判定

異常あり(要精密検査)

精密検査の内容

・コルポスコピーと生検
※AGC、AIS、Adenocarcinomaの場合は子宮体部の精密検査
・その他の悪性腫瘍の場合は病変の検索

その後

精密検査の結果に対応した治療


精密検査の方法

カルテ

精密検査では、婦人科のある医療機関で「ハイリスクHPV検査」「コルポスコピー検査」「組織診」といった検査が行われます。これらの精密検査を経て、異形成やがんが実際にあるかどうかを診断することができます。


ハイリスクHPV検査

細胞診と同様の方法で細胞を採取し、ハイリスクHPV(異形成や子宮頸がんの原因となるHPV)の有無を調べます

検査は数分で終わり、結果が出るまで1、2週間程度を要します。

十数種類のハイリスク型HPVへの感染の有無が分かる「ハイリスクHPV一括検査」では、5000円から9000円(自費の場合)程度の費用がかかります。ただし、子宮頸がん検診で「ASC-US」の結果が出た人は、この検査費用に保険が適用されます。さらに、HPVウイルスの型を特定する「HPV型別判定(タイピング検査)」を行う場合は、1万円から2万円(自費の場合)程度の費用がかかります。


コルポスコピー検査と組織診

HPV検査の結果が陽性の場合や、すぐに精密検査が必要な場合は、コルポスコピー検査で子宮頸部を観察し、病変が強い場所を特定します

コルポスコピー検査で異常が疑われる場合は、組織診を行うために病変が強いと思われる組織を採取します。組織診を行った場合は多少の出血がありますが、1週間程度で止まります。

コルポスコピー検査と組織診は、同日に検査することができます。両方の検査を行った場合15分から30分程度の所要時間を要し、費用は5000円(3割負担の保険適用時)程度かかります。また、結果が出るまで1、2週間程度を要します。


ステージ分類(進行期分類)

子宮頸がんのステージ分類

がんが発生しても、子宮頸部の上皮内にとどまっている段階で早期発見できれば、かなり高い確率で治すことができます。

がんが進行して、上皮内を超えて周囲に拡大すると「浸潤がん」と呼ばれ、その広がりの程度によって、Ⅰ期からⅣ期までのステージに分類されます


→ステージについて詳しくはこちら


治療方法

子宮頸がんのステージを判定した後、治療ガイドライン(日本婦人科腫瘍学会による)をふまえて、最も効果的な治療法(手術療法、放射線療法、化学療法)を選択します。治療が終わっても、術後の後遺症やがんの再発の有無などを経過観察することが重要なため、通院は数か月ごとに5年以上継続して行います。

子宮頸がんでは、基本的に以下の図のような治療が行われます。

子宮頸がんの治療方法

手術療法(外科療法)

医師と患者

子宮内のがんの広がりによって手術方法が変わります。だだし、Ⅲ期以上の子宮頸がんになると手術療法を行うことは難しくなります。


円錐切除術

上皮内がんやⅠA1期の子宮頸がんは、子宮頸部の一部を切り取る「円錐切除術」で治療することができます

この手術を行っても、子宮は残せるので妊娠は可能です。


単純子宮全摘出術

上皮内がんからⅠA2期までの子宮頸がんでは、子宮全体を取り除く「単純子宮全摘出術」を行うことが一般的です。

この手術を行うと、子宮全体を取り除くため、妊娠はできなくなります。


準広汎子宮全摘出術

ステージⅠA1期、ⅠA2期では、子宮に加え、周辺部位や膣上部を摘出する「準広汎子宮全摘出術」が行われます。準広汎子宮全摘出術と、リンパ節を切除する「骨盤リンパ節郭清」を組み合わせる場合があります

単純子宮全摘出術と大きな違いはありませんが、排尿障害が起こる可能性があります。骨盤リンパ節郭清を行った場合は、下肢のリンパ浮腫などの症状が現れることがあります。


広汎子宮全摘出術

ⅠA2期からⅡ期においては、子宮に加え、周辺組織を広く切除する「広汎子宮全摘出術」が行われます。広汎子宮全摘出術と、骨盤リンパ節郭清を組み合わせる手術が一般的となっています。また、卵巣に転移のリスクがある場合は、卵巣を摘出する場合もあります

手術で切除する範囲が広くなるため、感染症や、排尿障害、排便障害、性交障害など起こりうる後遺症は多数あります。閉経前に卵巣の摘出を行った場合は、女性ホルモンの分泌がなくなるため、ホルモンの補充療法が行われることがあります。

→手術療法について詳しくはこちら


放射線療法

放射線療法には「腔内照射」と「外部照射」があり、ⅠB1期からⅣ期の治療に対して行われます

腔内照射とは、子宮や膣内に線源を挿入し体内から放射線を照射する方法で、病巣への照射線量が大きいのが特徴です。外部照射とは、体外の前後から照射を行う方法で、広範囲に放射線を照射できるのが特徴です。

「同時化学放射線療法(CCRT)」といって化学療法(抗がん剤治療)と組み合わせて行う場合もあります

→放射線療法について詳しくはこちら


化学療法(抗がん剤治療)

子宮頸がんにおける化学療法の目的は主に「子宮頸がんの再発を防ぐ」「がんを小さくして手術や放射線治療が行える状態にする」「再発・転移に対する治療」のいずれかで、ⅠB2期からⅣ期の治療に対して行われます

抗がん剤治療は、数種類の抗がん剤を組み合わせて行う「多剤併用療法」が一般的となっています。また、先に述べたとおり、放射線療法と同時併用する「同時化学放射線療法」も多く選択されています。

→化学療法について詳しくはこちら


定期検診の必要性

子宮頸がんの定期検診

子宮頸がんの予防方法として、定期検診はとても有効です。性交渉経験のある人は、自覚症状が何もなくても20歳を過ぎたら1、2年に一度のペースで検診を受けることが大切です。

40代からは子宮体がんのリスクも高まります。閉経後に不正出血がある場合などは、子宮頸がん検診と共に、子宮体がんの検査を受けることをおすすめします。


まとめ

子宮頸がんは、婦人科がんの中でも特に患者数が多い病気です。初期はほとんど自覚症状がないため定期検診で発見される割合が高く、がんが見つかっても早期のうちに手術をすれば治る見込みは良好です。

しかし、手術は子宮の機能や妊娠の可能性に少なからず影響を与えます。妊婦が子宮頸がんになってもほとんどのケースで出産が可能ですが、病状によっては治療を優先せざるをえず、妊娠継続が困難になることもあります。

最終的にどのような治療法を選択するかは、ご自身が医師や家族と良く相談したうえで決定されるのが望ましいです。

※本記事の内容は掲載時点の情報であり、最新の情報とは異なる場合があります。予めご了承ください。


記事監修医師宋美玄先生  

【 監修者 】
 産婦人科医・医学博士
 宋美玄 先生

投稿する