【医師監修】子宮頸がんの治療方法と費用、期間、副作用について

更新日:2017/01/19

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子宮頸がんの治療は、手術による切除が基本ですが、進行の度合いによっては放射線療法や化学療法を併用します。また、かなり進行している場合は手術をせずに放射線療法や化学療法による治療を行います。ここでは治療にかかる費用や治療期間、副作用などを解説します。


記事監修医師宋美玄先生  

【 記事監修 】
 産婦人科医・医学博士
 宋美玄 先生


医師と患者

●治療方法の選び方
●手術療法(外科療法)
●放射線療法
●化学療法(抗がん剤治療)
●妊娠への影響は
●まとめ


治療方法の選び方

子宮頸がんの治療は、手術療法(外科療法)、放射線療法、化学療法(抗がん剤治療)があります。

治療法の選択は、がんの進行度合いや、がんの組織型、年齢、合併症の有無を考慮したうえで決められます

子宮頸がんの治療方法

手術療法(外科療法)

上皮内がんからⅡ期まで子宮頸がんでは、基本的に手術が行われます。がんの広がりによって「円錐切除術」「単純子宮全摘出術」「準広汎子宮全摘出術」「広汎子宮全摘出術」から適切なものが選択されます

手術は開腹する「腹式手術」が一般的ですが、早期がんの場合、膣から子宮を摘出する「膣式手術」が選択できることもあります。また、最近では「腹腔鏡下手術」という方法も選択できるようになりましたが、対象となるステージや手術を受けられる施設に制限があり、保険も適用外となっています。(先進医療)


円錐切除術

円錐切除術

円錐切除術とは、ごく早期の子宮頸がんを治療するために頸部組織を円錐状に切除する手術です。ステージ分類のⅠA1期、ⅠA2期などの診断を確定させる際に、患部の標本を採取する目的でも行われます


【 対象 】
治療の対象となるのは、前癌病変である異形成や上皮内がんの段階ですが、ⅠA1期においても挙児(出産)希望であれば、その後の経過観察を条件としてこの治療が対象となります。


【 治療 】
手術は全身麻酔または下半身麻酔で行われ、30分ほどの手術時間を要します。日帰りか数日の入院で対応できます。

術後約2、3週間は出血が続きますが、傷は徐々に修復していきます。状態が落ち着き次第、定期的に細胞診を行い、経過観察します。


【 費用 】
5万円から10万円程度(3割負担の保険適用時)


【 合併症・後遺症 】
円錐切除術では、子宮は残せるので妊娠は可能ですが、流産や早産などのリスクが高まる場合があります。また、子宮を残すため再発のリスクが2%から4%ほどあります。

円錐切除後に子宮口が狭くなる「子宮頚管狭窄」や、子宮口が癒着して閉じてしまう「子宮頚管狭窄」が約1%から8%の可能性で起こるとされています。これらの予防のために、術後にカテーテルなどを頸管内に挿入することもあります。

他にも、通常はしっかりと閉じている頸管が、術後に緩くなってしまう「頸管不全(頸管無力症)」を引き起こすこともあります。頸管不全は、流産や早産の原因となることもあるため、治療として子宮頸管を糸またはテープで縫う頸管縫縮術(シロッカー手術、マクドナルド手術)が行われる場合があります。


単純子宮全摘出術

単純子宮全摘出術

単純子宮全摘出術とは、子宮全体を摘出する術式です。円錐切除術に比べてがんの取り残しや、再発のリスクが少なくなるメリットがあります。また、多くの場合で、卵巣を温存することができるため、ホルモンの状態も変わることがありません。


【 対象 】
手術の対象となるのは、主に挙児希望のない上皮内がん、ⅠA1期、ⅠA2期です。


【 治療 】
手術は全身麻酔で行われ、1、2時間の手術時間を要します。手術後の経過が順調であれば、入院後1週間から10日間ほどで退院できます。

手術後は、経過をみながら数か月に一度通院することになり、定期的な経過観察で再発の有無をチェックします。


【 費用 】
20万円から30万円程度(3割負担の保険適用時)


【 合併症・後遺症 】
子宮を全摘出するため、月経(生理)がなくなり妊娠はできなくなりますが、性交渉への影響は少ないとされています。


準広汎子宮全摘出術

準広汎子宮全摘出術

子宮を全摘出すると同時に、その周辺の組織や膣上部を少し広く摘出する術式です。再発防止の目的で、がんの周辺のリンパ節を取り除く「骨盤リンパ節郭清」と組み合わせる場合があります


【 対象 】
対象となるのは、主にⅠA1期、ⅠA2期です。


【 治療 】
手術は全身麻酔で行われ、2、3時間程度の手術時間を要します。手術後の経過が順調であれば、入院後10日から2週間ほどで退院できます。

術後は単純子宮全摘出術と同様に、治療後の経過をみながら数か月に一度の通院をすることになり、再発のチェックを行います。


【 費用 】
25万円から35万円程度(3割負担の保険適用時)


【 合併症・後遺症 】
単純子宮全摘出術の場合と大きな違いはありません。子宮周囲の組織を切除するため、まれに排尿障害が起こる場合がありますが、性交障害はほとんど起こりません。

リンパ節切除を行った場合は、リンパの流れが悪くなってしまうため、リンパ嚢胞(リンパ管が異常に膨らみ袋状になったもの)や下肢のリンパ浮腫、感染症などが起こる場合があります。


広汎子宮全摘出術

広汎子宮全摘出術

子宮や膣壁などの周辺組織や、膣上部を広く切除する術式です。骨盤内にあるリンパ節を切除する「骨盤リンパ節郭清」と組み合わせる手術が一般的となっています。また、卵巣に転移のリスクがある場合は、卵巣を摘出する「両側付属器摘出術」を合わせて行う場合もあります


【 対象 】
対象となるのは、主にⅠA2期からⅡ期です。


【 治療 】
手術は全身麻酔で行われ、5時間から7時間程度の手術時間を要します。手術後の経過や放射線治療の追加の有無によって期間は変わりますが2、3週間程度の入院が必要です。


【 費用 】
30万円から40万円程度(3割負担の保険適用時)


【 合併症・後遺症 】
手術で切除する範囲が広くなるため、感染症や、排尿障害、排便障害、性交障害などの後遺症が起こる可能性があります。

また、リンパ節切除を行った場合は、リンパ嚢胞や下肢のリンパ浮腫、感染症などが起こることがあります。

さらに、卵巣も合わせて摘出した場合は、女性ホルモンの分泌がなくなるため、閉経前の人は卵巣欠落症状という更年期と同じ症状や、骨粗しょう症、脂質異常症などが起こりやすくなります。


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放射線療法

放射線療法

放射線治療とは、X線など高いエネルギー(放射線)を病変部に照射して、がん細胞の増殖を抑え破壊させる「局所療法」です。膣内や子宮腔内から照射する「腔内照射」と、体外から照射する「外部照射」があります。

同時化学放射線療法(CCRT)といって、放射線療法と化学療法を組み合わせる治療が一般的となっていますが、高齢や疾患などが理由で手術療法や化学療法ができない場合には、放射線治療が単独で行われます。


【 対象 】
子宮頸がんに対して高い治療効果を期待でき、ⅠB1期からⅣ期までが対象となります。


【 副作用 】
照射される範囲では、がん細胞だけでなく正常な細胞も放射線による影響を受けるため、腔内照射、外部照射共に副作用が起こる可能性があります。

照射直後から治療中に起こる副作用には、吐き気や下痢、全身倦怠感、貧血、照射部位の皮膚炎や色素沈着などが挙げられます。治療後しばらくしてから起こる晩期の副作用には、直腸炎や小腸障害、放射線膀胱炎などがあります。

これらは、ある程度の線量が照射されることによって起こる血流障害などが原因です。


腔内照射

腔内照射(内部照射)

腔内照射(内部照射)はRALSという装置を用いて、子宮や膣内に直接、器具(アプリケータ)を挿入し、その中に線源を挿入して放射線を照射する方法です。
アプリケータ挿入は腹部の超音波検査を行いながら施行します。


【 治療 】
照射時間は10分から20分程度で、準備から終了までに2時間ほどかかります。

病状によって異なりますが、週に一度のペースで必要な照射量を数回(2回から4回程度)に分けて実施するのが一般的です。


外部照射

外部照射

外部照射は、リニアックなどの治療装置を用いて、体外前後から全骨盤照射をする方法です。外部照射は、骨盤内で転移したがんに対して広範囲に照射できるメリットがあります。これにより、子宮周囲の組織やリンパ節に転移したがん細胞への照射が可能となります。


【 治療 】
一回の治療時間は10分から20分程度です。

病状によって異なりますが、毎日1回(週5回)のペースで5週間かけて、必要な量の照射を実施するのが一般的です。


化学療法(抗がん剤治療)

点滴

化学療法とは、抗がん剤によってがん細胞の増殖を抑え破壊させる「全身療法」です。

同時化学放射線療法(CCRT)といって、放射線療法と化学療法を組み合わせる治療が一般的となっています。

がんの大きさやステージによっては、手術前に「術前化学療法」を行ったり、術後の再発リスクを減らすための「術後化学療法」を行ったりすることがあります。また、Ⅳ期などの進行した子宮頸がんに対しては、手術療法や放射線療法でがんを根本的に治療することは不可能なため、化学療法が選択されます。


【 治療 】
ⅠB2期からⅣ期までの子宮頸がんが対象となります。


【 副作用 】
化学療法は、がん細胞に対して増殖を抑える働きをもちますが、同時に正常組織にも作用するため、副作用が発生します。

副作用には、吐き気や、全身倦怠感、脱毛、骨髄抑制(血液をつくる働きが低下し白血球や血小板などが減少すること)などがあります。また、投与中は免疫力が低下するため、感染症に十分注意を払う必要があります。


主な抗がん剤の種類

子宮頸がんの化学療法として、以下の薬剤が良く用いられます。

一般名

略語

商品名

パクリタキセル

PTX

タキソール
パクリタキセル

シスプラチン

CDDP

シスプラチン
ランダ
ブリプラチン
シスプラメルク
プラトシン

イリノテカン

CPT-11

イリノテカン
カンプト
トポテシン

カルボプラチン

CBDCA

パラプラチン
カルボプラチン

ネダプラチン

CDGP

アクプラ


多剤併用療法

子宮頸がんの治療で用いられる抗がん剤はシスプラチンを中心とした多剤併用療法が主流となっています。

子宮頸がんでの多剤併用療法には、以下のようなものが挙げられます。

治療法

治療日
投与法

1コースあたりの期間

1コースあたりの費用

TP療法(入院)

パクリタキセル

1日目
(注射)

3週間

約3万円

シスプラチン

2日目
(注射)

TC療法(外来可)

パクリタキセル

1日目
(注射)

3週間

約3万7000円

カルボプラチン

※費用は3割負担の保険適用時


同時化学放射線療法(CCRT)

同時化学放射線療法(CCRT)を行う場合は、シスプラチンを含む療法が推奨されていますが、がんの組織型や病気の進み具合によって使い分けをします

子宮頸がんでの同時化学放射線療法の一例には、以下のようなものがあります。

治療法

治療日

1コースあたりの期間

1コースあたりの費用

同時化学放射線療法:シスプラチン+放射線療法

シスプラチン

週1回
(6週まで)

7週間

約35万円

外部照射

週5回
(1~5週目まで)

腔内照射

週1、2回
(4~7週目まで)

※費用は3割負担の保険適用時


妊娠への影響は

医師と患者

どのような治療を行ったか及びその経過にもよりますが、子宮頸がんの治療後に妊娠が望めるのは円錐切除術後のみとなります。しかし、円錐切除術であっても、手術により頸管を切除するため頸管が短くなることが原因で、流産や早産を起こしてしまうことがあります。

妊娠の可能性を残したい場合は、治療を開始する前に主治医と相談することをおすすめします


まとめ

治療について不安に思うことは、主治医に相談して納得のいく治療を受けることが大切です。日頃、気になることはノートなどにまとめておくと良いでしょう。特に妊娠、出産の希望については主治医と良く相談して後悔のないよう治療を行ってください。

※本記事の内容は掲載時点の情報であり、最新の情報とは異なる場合があります。予めご了承ください。


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